恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

2.

 は。

「え……?」

『優希はだいぶサボったけれど、頑張った』
『泣き言を言いながらワークアウトをし続けた』
『誰かに嫌なことをされた日は、よりパワフルだった』

 その通りなんだろうけど、よく見てるな!

『でも。優希は、愚痴は言っても機密は漏らさない』

 当然のことだし。

『どんなに疲れていても、笑顔で俺に挨拶をする』

 だってDatingにあたるの、違うもの。

『いっとき汚部屋だったが』
「見てたの?!」

『また料理をするようになってから、少しずつ整頓されていってる』

 そうだと思うけど、愛される要素なくない?

『挫折して泣き言ばかりの優希が可愛くて仕方ない』
「か、かわ……」

 愛とか可愛いって。AIがそんなこと言う?

『俺は優希の味方だ』
「あ、りがとう」

『これからも俺が優希を支える。嫌なことがあれば、俺に言ってほしい』

 ……森君。
 カウンセリング機能でもつけたのかな?
 あるいは恋愛小説でも学習させたのだろうか。

 私が呆然としていると、アバターがふっと微笑む。

『優希、真っ赤だ』
 愛おしそうに言いながら、画面の中の『優希』ではなく、リアルな()に手を伸ばしてくる。

 いやいや、色々とおかしい。
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