恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

5.

 ぽっちゃりのときより体が絞られてきたほうが、人間不信が増したけど。

『優希が言う、イケメンや美女達は皆、この不信感と闘っている』

 彼らの見た目に釣られて人が周りに集まってくれるから、『本当の自分を見てくれる人はいるのか』と悩むらしい。

『優希は悩んだ?』

 私はちょっと考えて、頭を縦に振った。

 両親はぽっちゃりしていても、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 今から考えると、さりげなく運動にも連れて行ってくれた。
 アスレチックに海に美術館。
 犬と散歩中だと、親にも素直になれて色々な話をできた。

 美味しくて、体にいい献立を作ってくれていた。
 ……だから料理作るの好きになったんだろうな。
 お母さんの作ってくれたものがなにより美味しかったから。

『優希のノートはほんと綺麗だね! お父さんの資料も作ってみる?』
『学校でも頑張り屋さん、って先生が褒めてらしたわよ!』
『健康で、肌はピッチピチ髪もツヤツヤ。唇も爪もピンク。優希は美人さんだよ』
 
 両親は私のいいところをたくさん見つけて褒めてくれた。
 視界が涙で潤んでくる。

『優希の内面が好きって友達はいた?』

 考えて、やっぱり頷く。

『優希ちゃんの抱きつき心地最高! マシュマロみたい』
『優希ちゃんて美味しそうに食べるよね。おかげで食欲湧いた!』

 私を居心地よくさせてくれた人は何人もいる。
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