恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

6.

『フィルターがかかってたから、優希にとっていい人を見つけ出しやすかった』

 それってぽっちゃりなほうがスレンダーで美人よりメリットが大きいってこと? 

 ……いや。
 美人のほうが絶対にメリットは大きい。
 というよりスレンダーな方が。

 着たい服が破けるかドキドキしながら試着しなくていいし。
 電車やバスの中で『場所を塞ぐな』って目で見られない。
 体力ついてきたのわかるし、汗をかけるようになってきた。
 ぽっちゃりしていたときの感触もいいけれど、今のシェイプされた体型のほうが自信を持てる。

 痩せてよかったんだ。

『人が寄ってくると、今度は相手を見極めるためにも自分の内面を見極めなければならない』

 居心地のいい人を探そうにも、自分にとってどんな人が好ましいかわかっていないと選べないと言う。

「……そうだね……」

 かつての私は、武尊に選ばれたんだろうか。
 俯いた私に、Datingが問うてくる。

『優希は武尊のどんなところが好きだったの。やっぱり顔?』

 一目惚れだった。
 そうだよ、と答えようとしてハッとなる。

「私も、彼の見た目しか見てなかった……」

 顔から血の気が引いていくのが自分でもわかる。
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