恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜
回想①〜出会いは大学三年生二十一歳〜

1.

 武尊と知り合ったのは今から二年と少し前の、大学三年の頃。
 キャンパスのど真ん中でお昼を食べていた私と、取引先へ向かうのにキャンパスを突っ切っていた彼と目があったのがきっかけ。
 
 ◇■◇ ◇■◇
 
 私が入学したのは、二流の中くらいの大学。
 けれど、カリキュラムが気に入っている。
 
「うちから通える範囲で秘書課コースあるの、ここだけだったし」
 
 学校にはオンラインでのインターンシップや説明会や面接に備えた個室ブースがある。
 就活の合間に、私は自作のお弁当を食べていた。

「んー。オムレツサンド、我ながら美味しい〜! もしかしたら私、カフェのオーナーが向いてるかもしれない。けど、秘書がいいんだよね」
 
 ……将来の職業について希望を述べると、大抵の人から『その体型で?』みたいな目で見られる。
 
 食べるのが大好きな私は、小学生からぽっちゃりさんだった。
 あだ名は、苗字の「でふね」と体型をもじって「デブネ」。小学校から始まって中高大学まで、まんべんなく。
 
 もちろん、いい気はしないが最近は開きなおっている。
 
「ぽっちゃりさんの秘書がいたっていいじゃない!」

 自分は企画を立案するより、プレゼン資料を作ったりするほうが好きらしい、となんとなく感じていた。
 大学一年の頃から学内バイトで教授の学会資料を作ったりして、余計にその思いが強まっている。
 
 自分では思いつかないけれど。他の人のアイディアを、どうやったらうまく伝えられるだろうと考えるの、ワクワクする。

 
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