恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

9.

 パーティは十八時からだという。

「女の子はね、綺麗になると戦闘力がアップするのよ!」

 万里子さんが、彼女の御用達だというエステサロンに連れて行ってくれた。

「もー可愛くて綺麗で高嶺の花で、この写真の男がかぶりつきたくなるようないい女にしちゃってください!」

 万里子さんがおそらく武尊の写真をひらひらさせてスタッフの人に頼んでくれている。

 不思議と、いたたまれなかったり恥ずかしい気持ちになったりしなかった。
 医療機器メーカーの令嬢に傷つけられる前のときみたいに、穏やかでほがらかな気持ちでいられる。

 肌の手入れとメイク、ドレスを着せてもらい、森君と万里子さんに付き添われてパーティ会場に向かう。

「後は若いお二人さんで」
 
 森君にとん、と中に押し込まれた。
 華やかに飾り立てられた室内に、武尊が一人で待っていた。

「優希……会いたかった……」

 泣き笑いの顔で駆け寄ってきた武尊を、抱きしめられる寸前でストップをかけた。
 絆されるな。

 
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