恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

12.

 やっぱり。
 薄々そうかなと思ってはいた。

 エステサロンの受付室で万里子さんと、私が森君から借りていたアプリの話題になった。
 万里子さんならいいかなと、アプリを起動してみせた。

 彼女が、ふと呟いたのだ。

『さすが誠司が作ったアプリね、クオリティが素晴らしいわ! ……それにこのサイト、ものすごい愛情表現』

『どういう意味?』

『スラングよ』

 そこで私はエステティシャンに引き渡されたんだけど。
 施術が終わったあと、サイトのアドレスをもしやと検索してみた。
 
 14344=I love you very much.(とても愛している)

 1437=I love you forever.(永遠に愛している)

 153= I adore you.(あなたが愛おしい)

 823=Thinking of you.(あなたのことを思っています)』 だと。

 それで確信した。


 わかった瞬間も泣きそうになってしまったが、今も涙で目の前がぼやける。

 私がいつアプリを起動するかわからない。
 二十四時間、私のために待機しているようなものだ。
 要人のボディガードには交代要員がいるが、『Dating』にはいない。

 それに私には、ダイエットが続かない絶対的な自信があった。
 そんな人間をなだめすかし、継続させる。
 並の苦労ではなかったはず。

「……なんで、こんな大変なことをしてくれたの?」
 
 私は泣き笑いの顔で武尊に訊ねる。
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