恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

3.

 かぶりつくためにくわっと開けた大きな口と、真っ白な歯が印象的だった。
 割と大きめなベーグルサンドを三口で食べてしまったのは、あっぱれというしかない。
 私は続けて魔法壜から、具沢山のスープをカップに注いであげた。
 
 しばらく無言で咀嚼音や嚥下する音が聞こえたあと。
 男性は鞄の中からウエットティッシュを出して、口元と手を拭いた。
 
「生き返った! ありがとう、昨日から食ってなくて」
 
 イケメンは私のほうへ向き直ると、ニコッと笑いかけてくれた。
 
「俺は深山武尊。二十一歳」
 
 同い年だった。慌てて私も名乗る。
 
「出船優希、同じく二十一歳です。……深山君は、この大学の人?」
 
 こんなイケメン、違う学科でも同じキャンパスなら見たことありそうだけど。
 
「持ち込みたい企画があってね。アポイントをとった会社、この大学を抜けると近道なんだ。ちょっと早めに到着して、喫茶店とかで資料を見直そうと思って」
 
 面接ではない? すると、彼は高卒で仕事をしているのだろうか。
 私の疑問がわかったように彼は説明してくれた。
 
「学生だけど、ベンチャー企業を立ち上げたんだ。これでも社長なんだ」
 
「……社長?」
 
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