恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

6.

 翌週、深山君に伴われて、H大学のカフェテリアに赴く。副社長の森さんとご対面。
 
「副社長兼開発担当の、森 誠司です」
 
 のっそりと頭を下げてくれたので、私も慌てて頭を下げる。
  
 森さんも身長百八十センチ超え。
 二人が目の前に並ぶと、「壁か!」ってくらいに圧迫感がある。

 ただし森さんの体格と顔は、可愛いわんこ系の深山君と違って、シェパードかシベリアン・ハスキーかってくらい、いかつい。
 
「武尊とは幼馴染です。話しているうちに、やりたいことの方向性が似ているので『じゃあ一緒に起業しようか』という話になりました」
 
 年の差十歳くらいあっても幼馴染の範疇、だよね。
 私が納得しかけていると、深山君がトンデモ情報を教えてくれた。
 
「だからね。誠司は正真正銘、俺らと同い年の二十一歳」
 
 よ、四十手前くらいかと思ってた……!
 多分、私みたいなリアクション、初めてではないんだろう。
 深山君がぶふ、と吹き出す。
 
「『人生二周目かよ』とか、『社会人入学?』って、よく言われます」
 
 森さ……君も平然としている。言われ慣れているらしい。
 
「小学生料金を払おうとして、身分証明書の提示を求められたりとか、しょっちゅうでした。でも『大人』だと思われて得したこともあるので、イーブンです」
 
 強面のわりにユーモアたっぷりみたい。
 森君の挨拶が済むと、深山君が待ちかねたように、彼に私を紹介してくれた。
 
「で、こっちがプレゼン資料の穴をたちどころに指摘してくれた、出船優希さん! 資料作成を手伝ってもらおうと思っている」
 
「よろしく」
 
 握手を求められたので、手を伸ばした。なぜか、強引に深山君が割って入ってくる。
 
「?」
 
 私の不思議そうな顔は放置される。
 森君の肩が震えていたけれど、それも無視して、深山君がにこやかに話しかけてきた。
 
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