嘘つき義弟の不埒な純愛
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【しばらくロケでいないから来なくていい】
朝の通勤電車の中、吊り革に掴まっていた寿々はため息をつきながら、スマホをバッグの中にしまう。
梓から二、三日おきにきていた連絡がパタリと途絶えてから早二週間。
ようやく、連絡がきたと思ったらこんなメッセージで、寿々はがっかりしていた。
(私に会いたくないのかな?)
顔を合わせたくない理由なら、寿々にだってあるけれど、梓からこれだけ明確に避けられると流石に落ち込む。
寿々は気落ちしたまま出社し、うつろな表情でパソコンに向かった。
機械的にキーボードを押してみたものの、内容はちっとも頭に入らない。
「どうした?ずいぶんと浮かない顔をしてるな」
コトンと缶コーヒーが、デスクに置かれる。
エレベーター横にある自販機で、寿々がよく買っている甘さ控えめのカフェラテだ。