嘘つき義弟の不埒な純愛
(同じだ)
どれほど篠原が素晴らしい男性だろうと、きっと寿々は彼とは結婚できなかった。
だって、彼は梓ではないのだから。
寿々は声を震わせながら、恐るおそる口にした。
「一緒に堕ちてくれる?」
いけないことをしているのはわかっている。
梓は芸能人で、寿々の義理の弟だ。
ふたりの関係が明るみになったら?彼の将来はどうなる?
誰かから後ろ指を差されるかもしれない。
しかし、どれも梓を拒む決定的な理由にはなりえなかった。
そっと梓を仰ぎ見れば、同じ熱量で見つめ返される。
「そう言ってくれるのをずっと待ってた」
ふたりなら怖くない。どこまでも堕ちていける。
吸い寄せられるように重ねられた唇に、途方もなく嬉しさがこみ上げる。
二度目の口づけは、身を焦がすほど熱いものになった。
「あ、ん……!はっ……!」
「ずっと寿々にこうしたかった」
寝室に連れて行かれ、ベッドに寝かされた寿々は、寄せては返す波のごとく何度も訪れる愉悦に必死で耐えていた。
梓は声を必死で押し殺そうとする寿々の痴態をうっとりとした目つきで眺めている。
「全部俺のだ」
服を脱がされ、あらぬところを舌でなぞられれば、甘い疼きが全身を駆け巡る。
恥ずかしさの限界はとうに超えていた。
「もう離さない」
梓は身体を重ねている間、同じ台詞を絶え間なく繰り返した。
徹底的に教えるという言葉通り、寿々は梓の独占欲を一身に浴び、どれだけ愛されているのか何度も教え込まれた。