嘘つき義弟の不埒な純愛

「あーもう!またこんなに汚して……!」

 寿々は部屋の中に入るなり、早速ゴミ袋を広げ、テーブルの上の使用済みの割り箸や弁当殻を次々と放り投げていった。
 窓の外には綺麗な夜景が広がっているのに、部屋の中には脱ぎっぱなしの洗濯物やら、空のペットボトルが転がっている有様。
 せっかくの素敵な雰囲気が台無しだ。

「なんか、母さんみたいみたいだな」
「お母さんなら、この光景を見た瞬間に叫び出すわよ。”梓っ!いい加減にしなさい!”ってね」
「それもそうか」

 梓はゲラゲラとさもおかしそうに笑った。

「この間も心配してたよ。ちゃんと連絡してるの?」
「そういうのは寿々に任せる」

 梓はそう言うと、掃除に勤しむ寿々を尻目にゲームのコントローラーを握り始めた。
 
(もう。都合のいいときだけ弟面するんだから)

 しかし、不満はあれど憎めはしない。
 前回来た時よりはマシだと言い聞かせ、再び空のペットボトルを手にとる。
 ふたりは同じ家で育った姉弟だ。
 ただし、そこに【義理の】という接頭詞がつく。

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