輝く未来の国王は 愛する妃と子ども達を命に代えても守り抜く【コルティア国物語Vol.2】
時間になり、支度を整えたフィルとクリスティーナは、執事に案内されてダイニングルームへと向かった。

フィルは燕尾服、そしてクリスティーナは胸元が大きく開いたローブデコルテに身を包み、オペラグローブをはめた手でフィルと腕を組む。

現れた二人に、王妃は感嘆のため息をついた。

「まあ、お二人ともなんて美しいのかしら。美男美女で、本当にお似合いね」

そして王妃は、隣に座っている男の子二人を紹介した。

「長男のダニエルと次男のキースですわ」
「初めまして。フィリックス様、クリスティーナ様」

17才だというダニエルは、社交界デビューも果たしているらしく、にかやかに胸に手を当てて頭を下げる。

隣の弟、15才のキースも、「初めまして、キースです」と見よう見まねで兄に続いた。

「初めまして。フィリックスとクリスティーナです」
「どうぞよろしくね」

フィルとクリスティーナも、二人の王子に笑いかける。

早速四人で乾杯してディナーが始まった。
ステーキの他にも海の幸、山の幸と、立地の良さを活かした採れたての食材で作られた料理は、どれもこれもが新鮮で美味しい。

「頼もしい王子がお二人もいらっしゃって、スナイデル王国も安泰ですね」

料理を味わいながら、フィルがそれとなく話を振る。

「いやいや、コルティア国こそ。長らく男児一人だった血筋に、王子がお二人お生まれになったそうで」
「ええ。スナイデル王国も、長きに渡って王子お一人の時代が続いたのですか?」
「ああ、まあ、そうですね」
「それではダニエル王子とキース王子のご誕生は、本当におめでたいことでございますね。次期国王は、やはりダニエル王子が継承されるのですか?」
「王位継承順位からいくと、そうなりますね。コルティア国はいかがですか?」
「今のところ、長男の方が順位は上です。ですが我々は、必ずしも古いしきたりに縛られる訳ではありません。古き良きものを残しつつ、その時代ごとに新たに制度を整えていくことも、大切だと思っております」

フィルの言葉に、国王は、なるほど、と頷く。

「王位継承順位も、今後見直すと?」
「必要があればそうします。しきたりにとらわれず、子ども達の意見を聞きながら話し合いたいと思っておりますが、今の時点では何とも申せませんね。なにしろ次男は、まだ1才ですので」

すると王妃が、あら!可愛らしいと目を細める。

「お会いしたかったわ。お二人のお子様達なら、さぞかし愛くるしいでしょうね」
「ありがとうございます。いつかお目にかかれる日を楽しみにしております」

クリスティーナの言葉に、ええ、ぜひ!と王妃も微笑んだ。

食事のあとは、コルティア国から持って来た友好の証の品々を献上する。

そして明日の午後、互いに友好条約を結び、夜には盛大な舞踏会が開かれることになった。
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