輝く未来の国王は 愛する妃と子ども達を命に代えても守り抜く【コルティア国物語Vol.2】
「ほう、3秒で息の根を止める劇薬を口にしながら、まだ息があるとは。さすがはコルティア国王太子。普段から毒に身体を慣らしていたのだな?」
冷たい口調の執事に、クリスティーナはワナワナと震え出す。
「あなた一体、フィルに何を飲ませたの?!どうしてこんな…」
込み上げてくる涙をこらえ、フィルを胸に抱きしめながら、懸命に口を開いた。
「助けて!フィルを死なせないで!」
「そうおっしゃられてもねえ。私だって並々ならぬ覚悟で、こんなことをしたのですから」
「どうしてよ?フィルがあなたに何をしたって言うの?一体、何が目的なのよ!」
「目的ですか?強いて申し上げるなら、これまで虐げられてきた己を救う為、でしょうか」
クリスティーナは、訳が分からないとばかりに首を振る。
「いいから、早く!フィルを助けて!お願い、フィルを死なせないで…。何でもするから、フィルの命だけは…お願い」
涙を溢れさせながら、胸にフィルをかき抱いてクリスティーナは懇願する。
「これは美しい夫婦愛ですな。なるほど、分かりました。王太子を死なせるより、苦しませる方が見ものだ。この場は助けましょう」
クリスティーナはパッと顔を上げる。
「本当に?」
「ええ。ですがその代わり、あなたが囚われの身となるのです。それで良ければ、これを差し上げますよ」
そう言って、懐から小さな瓶を取り出した。
「解毒剤です」
差し出された小瓶を、クリスティーナはすぐさま奪い取る。
蓋を開けると、胸に抱いたフィルの口に持っていった。
「フィル、飲んで」
フィルは苦しそうに顔を歪めながら、首を振る。
「どうして?これを飲めば助かるのよ。さあ、飲んで」
「ダメだ…、代わりに、君が…囚われる」
息も絶え絶えに呟くフィルに、クリスティーナは語気を強める。
「私のことはいいから!お願い、フィル。飲んで。ね?」
「ダメだ…」
フィルはかすかに目を開けると、クリスティーナを見つめた。
「行かないで…ティーナ」
苦しそうに、切なそうにささやくフィルに、クリスティーナはとめどなく涙を溢れさせる。
「ずるい…。こんな時に、そんな呼び方…」
だがグッと唇を噛みしめると、クリスティーナは手にした小瓶を自らの口に当て、一気に中身をあおった。
「何を?!」
執事が驚く中、クリスティーナはフィルを抱きしめ、深く口づける。
「…んっ」
フィルが身をよじるが、クリスティーナはギュッと強くフィルを抱きしめ、更に深くキスをした。
やがて、コクンとフィルの喉が動き、クリスティーナはゆっくりと身体を起こす。
しばらくじっと様子を見守っていると、ほんのわずかだが、フィルの呼吸が静まってきた。
冷たい口調の執事に、クリスティーナはワナワナと震え出す。
「あなた一体、フィルに何を飲ませたの?!どうしてこんな…」
込み上げてくる涙をこらえ、フィルを胸に抱きしめながら、懸命に口を開いた。
「助けて!フィルを死なせないで!」
「そうおっしゃられてもねえ。私だって並々ならぬ覚悟で、こんなことをしたのですから」
「どうしてよ?フィルがあなたに何をしたって言うの?一体、何が目的なのよ!」
「目的ですか?強いて申し上げるなら、これまで虐げられてきた己を救う為、でしょうか」
クリスティーナは、訳が分からないとばかりに首を振る。
「いいから、早く!フィルを助けて!お願い、フィルを死なせないで…。何でもするから、フィルの命だけは…お願い」
涙を溢れさせながら、胸にフィルをかき抱いてクリスティーナは懇願する。
「これは美しい夫婦愛ですな。なるほど、分かりました。王太子を死なせるより、苦しませる方が見ものだ。この場は助けましょう」
クリスティーナはパッと顔を上げる。
「本当に?」
「ええ。ですがその代わり、あなたが囚われの身となるのです。それで良ければ、これを差し上げますよ」
そう言って、懐から小さな瓶を取り出した。
「解毒剤です」
差し出された小瓶を、クリスティーナはすぐさま奪い取る。
蓋を開けると、胸に抱いたフィルの口に持っていった。
「フィル、飲んで」
フィルは苦しそうに顔を歪めながら、首を振る。
「どうして?これを飲めば助かるのよ。さあ、飲んで」
「ダメだ…、代わりに、君が…囚われる」
息も絶え絶えに呟くフィルに、クリスティーナは語気を強める。
「私のことはいいから!お願い、フィル。飲んで。ね?」
「ダメだ…」
フィルはかすかに目を開けると、クリスティーナを見つめた。
「行かないで…ティーナ」
苦しそうに、切なそうにささやくフィルに、クリスティーナはとめどなく涙を溢れさせる。
「ずるい…。こんな時に、そんな呼び方…」
だがグッと唇を噛みしめると、クリスティーナは手にした小瓶を自らの口に当て、一気に中身をあおった。
「何を?!」
執事が驚く中、クリスティーナはフィルを抱きしめ、深く口づける。
「…んっ」
フィルが身をよじるが、クリスティーナはギュッと強くフィルを抱きしめ、更に深くキスをした。
やがて、コクンとフィルの喉が動き、クリスティーナはゆっくりと身体を起こす。
しばらくじっと様子を見守っていると、ほんのわずかだが、フィルの呼吸が静まってきた。