輝く未来の国王は 愛する妃と子ども達を命に代えても守り抜く【コルティア国物語Vol.2】
第八章 感動の再会?!
ん…、と顔をしかめて、フィルはゆっくりと目を開ける。

(ここは、どこだ?)

身体が鉛のように重く、手を動かそうとしても痺れて上手く動かない。

(なんだ?どうしたんだ。一体、何が…)

そこまで考えてハッとした。

(クリスティーナ!)

ガバッと身を起こし、途端にめまいがして再び倒れ込む。

「おやおや、元気にお目覚めですな」

低く不気味な声がして、フィルは忌々しげに相手を睨みつけた。

「おのれ…、クリスティーナに何を?!」
「何もしていませんとも。今はまだ、ね」

ニヤリと笑いながら、執事はフィルがいるベッドへと近づいてきた。

「寝耳に水、とは思いますが、あなたにはお話しておきましょう。先ほど、コルティア国に使者を遣わせました。王太子夫妻を人質にしている、従わなければ彼らの命はない、としたためた声明文を持たせてね」
「なっ…!」

目を見開くフィルに、執事は愉快げに笑う。

「実に気分がいい。いよいよこの時がやって来たのだ。世界を我が手中に収める日がな」
「…貴様、何者だ?」
「一国の王にそんな口のきき方は無礼ですぞ、王太子殿下」
「王だと?」

執事の戯言か、と思ったが、フィルは嫌な予感がした。

(確かに執事にしてはオーラが違う。生まれ持った資質、育てられた環境によって備わった威厳…)

そこまで考えてハッとした。

(まさか、国王の兄か?!)

フィルの様子に、執事は勘づいたらしい。

「さすがは王太子殿、頭の回転が速い。もうお気づきですね。いかにも、私がこのスナイデル王国の王位継承者。弟よりも継承順位が高い、グラハム2世だ」

フィルは言葉を失い、しばし呆然と目の前のグラハム2世を見つめていた。
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