輝く未来の国王は 愛する妃と子ども達を命に代えても守り抜く【コルティア国物語Vol.2】
「いたか?」
「ダメだ。そっちもか?」
「ああ。今度は西の庭園を見てくる」
「分かった。俺達は城の中をもう一度探す」

兵達が大勢行き交い、互いに短く言葉をかけてまた走り出す。

その様子を柱の影から見ていたフィルとクリスティーナは、一旦顔を引っ込めて小声で話し出す。

「これからどうする?どこに向かうの?」

クリスティーナの問いに、フィルは、そうだなーと軽く答える。

「とりあえず国王陛下達の居住スペース辺りを片っ端から見て回ろう。見つけたら保護する。先にグラハム2世にバッタリ会っちゃったら戦う」
「それだけ?」
「それだけ」

クリスティーナは、はあ…とため息をつく。

「単純明快で分かりやすいこと」
「なに?単細胞って言った?」
「言ってないわ。思っただけよ」

オブラートに包んで言い換えたが、フィルにはお見通しだったらしい。

「考えたって思い通りになんて行く訳ないさ」
「確かにそうね。予想外の展開になって焦るよりは、行き当たりばったりの方が性に合ってるかも」
「だろ?さ、行こう」
「ええ」

二人はもう一度そっと顔を覗かせて辺りの様子をうかがってから、一気に走り出して城の階段を駆け上がる。

3階まで行き、最初の夜に晩餐会に招かれたダイニングルームを目指した。
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