輝く未来の国王は 愛する妃と子ども達を命に代えても守り抜く【コルティア国物語Vol.2】
第十章 引き抜いた剣
「国王陛下、ご無事ですか?」

全ての兵を縛って廊下に転がすと、フィルとクリスティーナはダイニングルームに駆け込んだ。

「おお、これは王太子殿。ご無事でしたか」
「はい。私も妃も無事です」
「良かった…。あなた方の身を案じていました。この度は、我がスナイデルのクーデターに巻き込んでしまい、本当に申し訳ない」
「お話は後ほど。今はとにかく、皆様を安全な場所までお連れします。行きましょう」

フィルとクリスティーナは、国王と王妃、そして二人の王子を外へと促した。

その時…

「おやおや、皆様お揃いでしたか。探し回る手間が省けて何より」

不気味な低い声と共に、グラハム2世がゆらりと扉から姿を現した。

フィルは左手を横に伸ばしてクリスティーナ達をかばい、右手で剣を構える。

クリスティーナは国王達四人を守って、部屋の片隅に誘導した。

「ここに伏せていてください」

そう言い残してフィルのもとに戻り、クリスティーナも隣で剣を構える。

「とっとと逃げればいいものを。愚かな王太子夫妻だ。私に刃向かった事を後悔するが良い」

グラハム2世がニヤリと笑うと、大勢の兵が一気に部屋になだれ込んできた。

これはさすがに多勢に無勢だと、クリスティーナは顔をしかめる。

チラリとフィルを横目で見ると、神経が研ぎ澄まされたように集中しているのが分かった。

(やるしかないのよね)

クリスティーナも覚悟を決めて、両手で剣を握り直した。
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