輝く未来の国王は 愛する妃と子ども達を命に代えても守り抜く【コルティア国物語Vol.2】
第十三章 命に代えても
その年の秋。
コルティア国王の即位10周年を祝う式典の日がやって来た。

国中がこの日を待ちわび、盛大なパレードをひと目見ようと、朝から大勢の国民が大通りに集まっている。

スナイデル王国からも、お祝いの品がたくさん届けられていた。

フィル達王太子一家も、パレードに参列する為に朝から支度を整えていた。

フィルはロイヤルブルーの軍服。
クリスティーナは国花のバラをイメージした深紅のドレス。

アレックスとマックスは、スーツにネクタイ。
フローリアは、真っ白なセーラーワンピースに赤いリボン。

それぞれ着替えを終えて髪型も整えると、大階段を下りて王宮のエントランスに向かう。

「まあ!なんて素敵なのかしら」

エントランスに見送りに来ていたリリアンが、頬に手をやってうっとりと五人に見惚れる。

「おおー、ほんとだ。輝かしいロイヤルファミリーだな。これは国民も総立ちで喜びそうだ」

アンドレアも目を細めて頷く。

「リリアン、俺達も早く子どもが欲しいね」
「あら、アンドレア様。しばらくは二人で新婚生活を楽しみたいっておっしゃってたのに?」
「ああ。リリーと俺の可愛い子どもに早く会いたくなったよ。ね?いいだろ?早く作ろう」
「アンドレア様ったら…」

クリスティーナは、んんっ!と咳払いをしてから、リリアンに声をかける。

「それじゃあ、リリアン。行ってくるわね」
「ええ。お気をつけてね」
「ありがとう」

フローリアも
「リリーおねえさま、いってきます」
と手を振る。

「行ってらっしゃい、可愛いプリンセス」

フローリアは、ふふっとリリアンに笑ってからフワリとスカートを翻して、クリスティーナと手を繋いだ。
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