幼なじみと両思いになるまで
そもそも今は5月なんだけど、新学期が始まったばかりで席替えが行われておらず、五十音順で並んでいる座席のせいで、湊斗とは前後の席。
湊斗が後ろにいると思うと落ち着かないし、こんな風に陸くん筆頭にいろんな人が湊斗の席に集まるから、クールながらにクラスの女の子と話す声ももちろん耳に入る。

その度に湊斗と会話できる女の子が羨ましくて、胸がぎゅっと締め付けられて泣きそうになるのに、湊斗が合コンに参加したことを知ってこの感情をどう処理したらいいのか分からない。


中学2年生のあの事件が起きるまでは、よく莉子ちゃんと陸くんと湊斗とたわいもないことを話してケラケラ笑ってたんだ。
湊斗のことは好きだったけど、それは幼なじみとしてで、異性を恋愛感情として好きになったことがなかった私は恋なんて漫画の中の世界だと思っていた。


いつかは私も主人公みたいな恋をしてみたい、きっとキラキラで毎日楽しいんだろうなあとか想像してたけど、現実はずっと胸が苦しいし、湊斗のことを考えると涙が溢れ出して止まってはくれない。


湊斗を好きだと自覚したあの日から、私とは一生両想いになれなくていいから、この湊斗に抱く恋心が消えるまでは、誰のものにもならないでって祈ってる。
最低な幼なじみでごめんなさい。




「神山、泣いてるの?」


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