イケメン外国人と親交を深めたつもりが、イケメン異星人と恋人契約交わしてました!
ちらりと見えたスマホの画面には、人の顔。

ビデオ通話かなと見ないように視線を伏せかけた時、ライの襟足の長い黒髪の下で、何かがキラッと光った。

あれ……ライって、ネックレスとかしてたっけ? と、その時は漠然とそんなことを思うだけだった。

まさか、その疑問を深く考えずにいたことが、あんなことになるとは思わずに。

      ❖

「ちなみに、直接の原因、訊いても構いませんか?」
「えっと、体力的にキツいのが一番で」
「他には?」

監視カメラで逐一行動把握されて、サボってるって言われたことです。

「あとは、クレームの件、ですかね? ちょっと精神的に参っちゃって。あはは」

休憩時間に呼び出しくらって対応したあげく、お客様の長話に付き合ったら、品出し終わってないって文句言われて。

休憩なくなるし散々だな、と思ったその日。SNSの口コミに名指しで「最悪な接客」と書かれる始末。

いや、私じゃないんだが。濡れ衣なんだが。

───そういえば、あの日だ。ライにコンポタもらったの。

「では、あとで登販の実務経験日誌も出力かけておきますね」
「はい、お願いします」

せっかく頑張って取った登録販売者の資格も、今後は意味ないな。
店長から受け取った退職手続きの書類に目を通しながら、漠然とそう感じていた。
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