イケメン外国人と親交を深めたつもりが、イケメン異星人と恋人契約交わしてました!

      ❖

チャトランこと茶トラの地域猫をなでながら、薄暗くなっていく春の空を見ていた。

一番星が、控えめに光ってる。

ああ、なんか、久しぶりに一息ついた感じ。しばらくは有休もあるし、のんびりしよう。

「秋良サン!」

男の人にしては、少し高めの澄んだ声に目を向ける。

「あっ、ライ。お帰り~」
「タダいまデス! チャトラン、おなかすいてマスか~?」

わしわしとチャトランの首周りをなでるライに、桜耳をパタパタさせ、わずらわしそうにするチャトラン。

「さっき私が食べさせたよ。今はもういらないんじゃないかな」
「秋良サンは? 食べマスか?」

白髪と白ひげの紳士が目印のフライドチキンの箱。
……どうりで良い匂いがするはずだ。

素直に受け取れば、ライから「シャワー浴びたら行きマスね」と言われ、深く考えずにうなずいた。

      ❖

濡れた黒髪に、ざっくりと胸もとが開いたニットを着たライは色っぽい。
というか、そんな感想をもつ自分にかなりの自己嫌悪。

年増(としま)にこんな風に見られてると知ったら、さぞかし気色悪かろうと、冷蔵庫を覗き込む振りをして頭を冷やす。
< 11 / 41 >

この作品をシェア

pagetop