イケメン外国人と親交を深めたつもりが、イケメン異星人と恋人契約交わしてました!
フツーに、美味い。やっぱり、食べ物に罪はない。

バスタブにお湯をためてると、浴室の薄い壁向こうから蛇口をひねる音と、よく解らない鼻歌が聞こえてくる。

不思議なことに、向こう側の生活音を聞く度に、同じ人間なんだよなぁと当たり前の感想をもってしまう。

言語とか習慣とか文化が違っても。話したら、そんなに人間(ひと)として違わないのかも。
ふと、そんなことを思った。

      ❖

遅番上がりでアパートに着けば、通路の手すりに寄りかかり紫煙を(くゆ)らせるお隣さんがいた。

……あれ、そういえば名前知らなかった。まぁ、呼ぶこともないし、どうでもいっか。

「アッ」

私の姿を見て、気まずそうに携帯用の灰皿に煙草を押しつける。

「今晩は」

別に吸うのやめなくても、私すぐに家に入るから遠慮しなくていいのにな。

「コンバンわ。……けむり、ゴメんナサイ」
「気にしないでください。ウチの母も生きてた時、外で吸ってたし」

退去時を考えてか、このアパートの住人らしき喫煙者が外で吸ってるのは、何度も見かけたことがある。

「お母サン、いないデスか。……サビシィ?」
「いえ、もう何年も経つし」

黒髪の向こうの茶色い眼が、見透かすようにこちらを見る。
───ストレートな穿鑿(せんさく)。日本人なら聞かないよ、それ。
< 5 / 41 >

この作品をシェア

pagetop