素直になって甘えてほしい〜強がる彼女の事情〜

「ただいまー」

奥からパタパタと走ってくる音がする。

「おかえり、お兄ちゃん!」

未央がエプロンをつけている。

「カレーの匂い?」

「当たり〜」

パチパチパチと手を叩いて喜んでいる。

「未央が作った?」

「うん、市販のルゥだけどね」

「充分だよ」

リビングダイニングに行ってカレーを覗いてみる。

「美味そう」

ふと炊飯器に目がいく透はもしかして…

「未央、ご飯は?」

「あーー!」

「未央らしいな(笑)」

「ご、ごめんね、カレーばっかり夢中になっちゃって」

お兄ちゃんはすぐにお米を洗って炊飯ボタンを押してくれた。

「先に風呂にしような」

「はい!」

ずいぶん未央も笑うようになったし、素直になった。

もちろんこのままで充分なんだがバイトを辞めた今、未央は俺とはどうなりたいんだろうか…

悩みは尽きないもんだな…

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