大好きだから私はあなたを忘れた
瑠奈は数秒くらい考えて言った。

「例えば?」

考えた結果がそれかいと心でツッコミながら説明した。

「髪触るとか、指いじるとか?」

瑠奈は、今度はたっぷり十秒考えた。

そして急に、思いついた!という顔で私を見た。

「食べることっ!」

……うん、話通じてない。

絶対意味を理解してない。

私は反射的に、少し苦笑いをした。

でもそんな天然なところがかわいい。

そういうところがモテるところなんだろうなあと思いながら、どうせ私は天然じゃないしモテないですよーと毒づいた。


まあいっか。

瑠奈も癖には気づいてないらしいし。

そもそも気づいてたら癖にもなんないか。


……そこまで思って、ふと思った。

私の癖は?

私の癖はなに?

もし変な癖だったらどうしようと思って、瑠奈に聞いてみた。

「私の癖ってなに?」

突然だったから、瑠奈はえ?という顔をしながらしばらく考えて言った。

「優しいとこ!」

「ん?」

相変わらず話は通じていないようで。

でも、優しいと言われたのは単純に嬉しい。

「玲衣ってさ、優しいんだよ。たぶん玲衣は自覚してないけど、誰かが何か落としたら拾ったりとか、誰かのミスをかばったりとか」

自覚してないというか、そもそもそんなことした覚えがない。
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