大好きだから私はあなたを忘れた
それと、そんなことする勇気なんて欠片もない。

そう思っていると、心を見透かしたように瑠奈が言った。

「自覚してないこと自覚してたら自覚してることになっちゃう。玲衣は、自分が優しくしたことに気付いてないのがすごいんだよねー」

最初の文はややこしかったけど、なんとなく意味はわかった。

「そんなこと言われたから言っとくけど、瑠奈はとりあえず可愛いから。いちいちの仕草とか、話し方とか。それも気付いてないから可愛いんだろうけど」

そこまで言うと、瑠奈が少し照れたような表情を見せた。

それも可愛い。

「……なにこの褒め合い」

よくわからない空気を無理やり破った。

「ほんとそれ」

と瑠奈が言うと、くすっと二人で顔を見合わせて笑った。


こういう、何気ない時間が、私は大好き。

ずっと続けばいいなあ。
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