大好きだから私はあなたを忘れた

瑠奈の彼氏

次の日の放課後、瑠奈が教室を出たところで叫んだ。

「ちょっと来てーっ」

瑠奈がいるところまで行くと、こっちこっちと手招きされた。

そのあと「ついてきて」と言うとどこかに向かって歩き出した。

なに?と思ってついていく。


瑠奈がこんなふうに呼び出すなんて珍しい。

なんだろう。


連れてこられたところは、人気のない廊下だった。

そしてそこには、一人の男子がいた。

顔がよくて、いかにもモテるって感じ。


「私の彼氏なの。西原悠馬」

え!彼氏!?

「そうなの!おめでとう」

私は迷う間もなく言った。

「告白、されたの?」

「そうなのっ!」

瑠奈は満面の笑みで答えた。

そんな幸せそうな顔に、自然と頬がゆるむ。

「え、いいなあ。まあ瑠奈かわいいしそうだよね」

これは紛れもなく本心。

瑠奈がかわいいのは事実だし、彼氏できるのも時間の問題だと思っていた。


そう考えていると、黙っていた西原悠馬くんが口を開いた。

「あの、」

急にびっくりして、その方向を見る。

早く帰りたいんですけどとか言われたらどうしよう。

「平松さんのことかわいいって言ってる人結構いますよ。……誰かは言えませんけど」

「へ?」

突然すぎて、言葉が右から左に抜けていく。

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