大好きだから私はあなたを忘れた
平松、というのは私の苗字。
「よかったじゃあん!玲衣っ!」
瑠奈がキラキラな目で言った。
「う、うん。よかったけど……」
それには蓮馬は入っていないんだろうなって思ったら、よくないかもとも思えてきた。
そこの部分は口には出さほなかったけど、心の声が聞こえてたのかなんなのか、瑠奈が言った。
「だいじょぶだって。蓮馬くんも絶対かわいいって言ってるよ」
ちょっと!そこにいるじゃんあんたの彼氏!聞こえる!
そう言ってやりたかったけど、彼氏さんがいるので控えておく。
「ねね、悠馬!蓮馬くんも言ってたよね!」
「それは秘密」
「なんで!それ言ったら玲衣の恋実るんだよ!」
「……言ったらおもしろくないだろ」
あれ、最後の文聞き取れなかった。
なんて言ってたんだろう。
まあ二人の会話だし、私が聞くことでもないか。
……でも、最後だけ私に聞こえないようにわざと声小さくしたでしょ。
そのあと、瑠奈が数秒考えて、にんまりと笑った。
「なーるほどねぇ」
「え?」
「んじゃあそゆことで。一緒に帰ろ!」
瑠奈がそう言って、そそくさと教室に戻っていった。
私は彼氏さんにぺこっと頭を下げてから瑠奈についていった。