大好きだから私はあなたを忘れた

突然の

なんとか約三十分間の沈黙を耐え続け、駅についた。


瑠奈と帰るときは、通っていた小学校が瑠奈のほうが遠いから、私が先に家につく。

駅からだったら蓮馬の家のほうが近いから、蓮馬がいなくなったら一人だ。

一人で帰ることは、最近なかったから変な感じ。


………また嫌な沈黙が続く。

私は誰かといる時、しーんとした雰囲気になるのが苦手。

なんか、私と喋るのが興味ないみたいで。


一言も交わすことなく、蓮馬の家が見えてきた。

蓮馬の家は屋上がある。

その屋上で、男の子数人が遊んでいた。

「蓮馬の家、誰か遊んでる」

蓮馬は私が指を指した方向を見ると、 少し顔が曇った気がした。

「ああ、弟の友達だ」

声のトーンが、いつもと違う。

「苦手?」

「え?」

「あの人」

蓮馬は少し間を空けてから言った。

「……あいつ、非常識なんだよ」

「へぇ」

なにがあったのかは知らないけど、嫌なことを思い出すような表情をしたので、もうその話題には触れないようにした。


分かれ道のところまで来てしまった。

もう一緒に帰れるのは終わりか、と少し寂しくなった。

「じゃあね」 

「……」

私が声をかけても、返答はなく、ただ前を向いている。

それに立ち止まるし。


< 19 / 39 >

この作品をシェア

pagetop