大好きだから私はあなたを忘れた
どうして

佐野瑠奈side

ついさっき、玲衣と、玲衣の好きな人、蓮馬くんを置いて学校を飛び出してきた。

玲衣も蓮馬くんも、あまりにも鈍感で。

玲衣と蓮馬くんの関係性を表すなら、『両片思い』の状態。

お互いに好きなのに、まだ思いを伝えていないこと。

だから、二人とも自分は片思いしているって思ってるけど、誰から見ても、正真正銘両思い。

そのことに早く気付いてほしくて、玲衣と蓮馬くんが二人で帰るように仕向けた。

玲衣たちが見えなくなる寸前、一瞬だけ振り返ると、二人で歩いていたから、今も一緒に帰っているんだろう。


私は走って、少し違う方向に向かい、ブランコに乗っていた。

私はこれまで漕いでいたブランコから、ブランコを止めずにひょいっとジャンプして着地した。

振り返るとブランコはまだ揺れている。

さすがに次の電車は逃すわけにはいかないから、駅の方向へと歩き出す。


ブーッブーッ

少し歩いたところで、かばんに入れていたスマホが鳴った。

電話が切れる前に出ようと、必死にかばんの中をあさった。

画面が光っていたから、すぐに見つけられた。

画面を見てみると、玲衣からの着信だった。

蓮馬くんとのことを報告してもらわなくちゃ。

私はそう思い、電話に出た。

< 22 / 39 >

この作品をシェア

pagetop