大好きだから私はあなたを忘れた
私は電話に出るとすぐに声をかけた。

「玲衣っ!」

私は思わず叫ぶと、玲衣は少し時間を置いて話しだした。

「瑠奈ちゃん?」

あれ?……玲衣の声じゃない。

それに玲衣は、『瑠奈ちゃん』なんて呼ばない。

「えっ……はい」

私が控えめに返事をすると、相手の焦った声が聞こえた。

「……瑠奈ちゃん、落ち着いて聞いて。……玲衣が、交通事故にあったの」

「……え?」

全く落ち着いていない電話の相手の言葉に、私のかすれた声が響く。

玲衣……が?

交通事故……?

そんな、嘘でしょ?

「信号無視のトラックに……」

「……」

いたずらかもしれない、と思った。

誰かがいたずらして、玲衣のスマホから電話をかけているんだと思った。

そう、思いたかった。

だけど、ひとつひとつの言葉から現実味が増していく。

「あ、言うの遅くなったけど私、優里ね。瑠奈ちゃん、久しぶり」

「そうなんですか、優里さん。お久しぶりです」

私は玲衣の家でもよく遊ぶことがあった。

その時、玲衣のお母さんの優里さんは、私にいろんなことをしてくれた。

穏やかな、玲衣とそっくりな優しい人。

それが第一印象。


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