大好きだから私はあなたを忘れた
「おはよーっ」
堀川学園でできた親友、佐野瑠奈。
いつもは電車通学で、駅で待ち合わせしている。
瑠奈とは小学校も違ったし、今まで全然接点がなかったけど、初めて同じクラスになり、どんどん仲良くなっていった。
「玲衣、なんか機嫌いいねえ。何あった?」
相変わらず瑠奈は、勘がとてつもなく鋭い。
「まあねっ」
「考えてること当てよっか。蓮馬くんと席隣でうれしーとかでしょ」
私の好きな人は、日比野蓮馬という。
「さすが瑠奈。勘鋭いなあ」
いつものことながら、考えていることを当てられ、感心する。
「私が鋭いんじゃないって。玲衣の顔に書いてあるから、そのまま読み上げてるだけ」
瑠奈には、私が蓮馬のことを好きなのは教えてある。
そして、それを心から応援してくれてる。
つくづく、瑠奈には感謝しなきゃなと思う。
「で、電車あと一分じゃん!急ご!」
ずっと駅のところで喋っていたからか、時間を見ると、あとあと一分だった。
階段を走りながら、息を切らして電車に乗る。
私達が住んでいるところは、結構な田舎。
だから東京とか都会に比べると、電車なんてガラガラ。
だけど座るところはほぼないから、いつもは立って乗っているけど、今日はちょうど二人分の席が空いていた。