大好きだから私はあなたを忘れた

佐野瑠奈Side

どうして?どうして玲衣が……

玲衣は悪いことなんて一つもしてない。


玲衣が事故に遭ってから一週間が経った。

私は部屋のベッドにすとんと座った。

玲衣がいないと、心にぽっかり穴が空いたみたい。

授業中も、他の友達と喋っているときも、廃人みたいな状態だったんだろう。

記憶が全然ない。




前に話してた、土曜日一緒ににケーキ作ろうねって言ってたのに……。

「玲衣……」

誰もいない部屋で、ぽつりと呟いた。

また一緒に、喋れるよね?

また、遊んだり、帰ったり、ケーキ作ったりできるよね?

……大丈夫。また玲衣と過ごせる。大丈夫。

そう思っていないと、心が不安で押しつぶされそうだった。


そういえば、蓮馬くんはどうしているんだろう。

たしかあの日、途中まで一緒に帰っていたはずだ。

教室にも蓮馬くんの姿はあったのかもしれないけど、私は周りを見る余裕なんてなかった。

蓮馬くんは今、どんな気持ちなんだろう。


ブーッブッー

急に電話がなって、びっくりして「わっ」と声を出す。

「優里さん……」

画面を見ると優里さんだった。

優里さんから電話がかかってくるのは、最初を含めて三度目。

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