大好きだから私はあなたを忘れた
優里さんと少しだけ喋ったあと、電話を切った。


玲衣のお父さんとかは、玲衣に会いに行ったんだろうか。

確か、あんまり見たことはないけど、玲衣にはお兄さんもいたはずだ。

玲衣は、玲衣のお父さんとお兄さんのことは覚えているんだろうか。


そのとき、近くに置いていたスマホがピコンと鳴った。


最近、玲衣以外と友達とメッセージのやり取りなんてまともにできていない。

廃人みたいになった私に、メッセージを送るのは、たぶんみんな気を使って控えているんだろう。

でも私は、こういうときは、誰かと話していたほうが気が楽になる気がする。


画面を見ると、彼氏の悠馬からだった。

最近はあんまり悠馬と喋ってなかったことを思い出す。


前、悠馬のことは玲衣に紹介したことがある。

その時、玲衣は自分のことのように喜んでくれた。

あんなに純粋で素直な子は他にいないと思う。

そこまで考えて、胸が痛んだ。

私はなにかと関連付けて玲衣のことを思い出してしまう。

玲衣のことは忘れたくないけど、忘れたくなる。

この感情ってどう表現すればいいんだろう。


頭の中でぐるぐる考えて、メッセージを開いた。

『最近、大丈夫?』

大丈夫なわけがない。

だけど、悠馬にそんなことを言えるわけがない。

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