大好きだから私はあなたを忘れた
記憶喪失……
玲衣……優里さんのことも忘れたのか……?
お父さんもお母さんも、お前の兄ちゃんだって。
全部忘れたのか?
俺のことも……忘れてるよな。
俺のせいで事故に遭ったんだから、忘れたいよな。
でも、せめて家族とか、親友とかは覚えていてほしい。
「平松さんっ!」
突然、遠くから声が聞こえた。白衣を着た若い女の人が、こちらに向かって走ってくる。
看護師だろうか。
近くまで来ると、看護師らしき人がもう一度「平松さん」と言った。
優里さんは、不安そうな顔をしながら看護師の方を向く。
俺は、その場にいるのがなんだか気まずくて、一歩下がったところで会話を聞いていた。
その看護師は、息を切らしながら優里さんに向かって言った。
「玲衣さんの……記憶がなくなっているのは……事故の直前まで、愛してやまないような存在の人だったんじゃないかと、医師も推測しています」
「え……?」
優里さんから、言葉が漏れた。
……ということは、優里さんは、玲衣にとって大好きで、愛してやまなかった人だったんだろう。
母親だから、当然とも言えるけど。
そうなったら、俺が忘れられていたら俺のことを愛していたってことになる、よな。
それはない。
じゃあ、玲衣は俺のことを覚えている。
玲衣……優里さんのことも忘れたのか……?
お父さんもお母さんも、お前の兄ちゃんだって。
全部忘れたのか?
俺のことも……忘れてるよな。
俺のせいで事故に遭ったんだから、忘れたいよな。
でも、せめて家族とか、親友とかは覚えていてほしい。
「平松さんっ!」
突然、遠くから声が聞こえた。白衣を着た若い女の人が、こちらに向かって走ってくる。
看護師だろうか。
近くまで来ると、看護師らしき人がもう一度「平松さん」と言った。
優里さんは、不安そうな顔をしながら看護師の方を向く。
俺は、その場にいるのがなんだか気まずくて、一歩下がったところで会話を聞いていた。
その看護師は、息を切らしながら優里さんに向かって言った。
「玲衣さんの……記憶がなくなっているのは……事故の直前まで、愛してやまないような存在の人だったんじゃないかと、医師も推測しています」
「え……?」
優里さんから、言葉が漏れた。
……ということは、優里さんは、玲衣にとって大好きで、愛してやまなかった人だったんだろう。
母親だから、当然とも言えるけど。
そうなったら、俺が忘れられていたら俺のことを愛していたってことになる、よな。
それはない。
じゃあ、玲衣は俺のことを覚えている。