大好きだから私はあなたを忘れた
机の中から、やっと英語のワークを見つけ出した。

ぱらぱらめくっていくと、『49』という数字が見えて、そのページを開く。

わかっていたけど、丸付けまで抜かりなくやってある。

「やってあるよ」

そのページを見せながら言う。

「お願い。写させて、玲衣」

「……え?」

私はぽかんとして聞き返した。

「おーねーがーい!まじで!」

駄々をこねる子どものような口調。

蓮馬が史上最高にかわいい顔をしてねだってくる。

そんな顔されたら貸すしかなくなる。

「これ今日提出じゃん。なに今更言ってんの」

このワークは、朝に係の人に出さないといけない。

「やり忘れた。俺その係だし、別に成績悪くなったりしねえから!」

そういえば蓮馬は、英語の係だったかもしれないと今思い出した。

「えぇー……」

一回提出物を出さなかったら、成績を下げられるかもしれない。

それはあんまりよくないと思いつつ、蓮馬に頼まれたことだから断りたくないという気持ちもあった。

「だーかーら!忙しいですとかなんとか適当に言って後で出せばいいだけだっつーの!時間ねえから早く貸せ!」

蓮馬はそうまくしたてるように言うと、私が持っていたワークをひったくった。

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