たまさか猫日和
「お前は、本当に銀座で接客してんのか?」

ようやく静かになった店内で、海星が呆れたように言った。

「銀座もピンキリってことよね」
「胸を張って言うなよ」
「しょーがない。葛飾だから。治安ワルイのは」
「八割、お前のせいだ」

ふと、海星の顔をマジマジと見た。

「なんだよ」

あの黒猫に似てない?
黒髪で、目が大きくて、それで・・・

「ウフッ」

思わず笑いが込み上げてくる。
海星が顔を歪めた。

「気持ちワリッ」
「カワイイッ」

渚ちゃんが、慈愛を込めた瞳で言った。

「智美ちゃん、本当に休み取りなよ」

なんで?と目で問いかけた。

「とうとうお兄ちゃんまで、猫に見え始めてちゃってる」
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