たまさか猫日和

妊活猫

「最初の3ヶ月はもう超大変!」
「ぜんぜん寝ないんだよ。私もう寝不足で気が狂うかと思った」
「母乳だってさ、飲まないもんは仕方ないでしょ。それなのに、マッサージに行けだの、母乳じゃなきゃ不良になるだの。その時間をくれつーの」
「私だってね、母乳じゃないけど、フツーに大きくなってるんだから」
「お前は一日中子供と一緒で幸せだねってさ!それが休みなく何年も続くこと考えてよ!?」
「いくら刺身が好きだからって、毎食毎時間食べられる!?」

母親が、二人いる。
正確に言うと「一人と一匹」だ。

小学校時代からの親友、柚葉が出産して半年経つ。
産まれた時に産院まで面会に行ったけど、新居が千葉だったこともあり、退院してから会うのは初めてだ。
結婚前から柚葉が飼っている茶トラのアラレが、柚葉と共に不満を爆発させている。

「大変だったんだね」
としか、私には言えない。

柚葉の娘、清楓(きよか)ちゃんは柚葉の腕の中で、知ったこっちゃねぇという顔をして、下に降りようともがいている。でも下に降ろすと泣く。なんて不可解な。

「ああああ〜ああ!」
「休みの日だってさ、勝手に予定作って出かけちゃってさ」
「こっちの苦労なんか全然考えてない。『俺は仕事してるんだから』とか言っちゃってさ。育児や家事は仕事じゃないんですか!?」
「あっ!ああーあ!!」
「あのバカ!」
「あのクズ!」
「あああああああああっっっ!!」

カオス。

あんなに好き好きダーリンI love youで結婚したのに、こんなことになるとは。結婚願望がますます持てなくなるね。


柚葉が続ける。

「千葉になんてマンション買うんじゃなかったなぁ。実家から遠いって、大変だよ」
「そうなのね」
「子供が小さいうちは、狭くても実家に近い方が絶対にいいね」
「そうなんだね」
「誰に向かって話してんの?」

ヤバ。間違えた。
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