たまさか猫日和
お父さんが十人兄弟だったせいで、近所に住む大量のイトコと一緒くたに育ったが、私自身はひとりっ子である。
渚ちゃんが小さかった頃は、よく遊んだり、時にはうちで預かったりもした。一緒に旅行へ出かけたこともある。
「このまま、うちのコになっちゃえばいいのに!」と本気で言っていたが、確かにずーっと世話するとなると、カワイイだけでは済まないかもしれない。

昔からモテる方だった海星が、カノジョを作る気配もなく未だ独身なのは、子育ての大変さを物語っているだろう。

「智美はイイ人いないの?」
「いないねぇ」
「職場は?」
「だって女ばっかりだもん。男は既婚者か、オネェかゲイか」
「あーあ、その時代が一番良いんだよなぁ。アタシもやり直したい」

アラレが言った。
「海星か銀河でいいじゃない」
「ちっとも良くないよ!あんな…」

急ブレーキ!!

「あんな?」
「ご、ゴーマンとナルシスト」
「確かに。そういう人とは付き合わない方がいいね」

話しかけないで、お願いアラレ。

「けっきょく私の見る限りはオトコなんてみんな一緒なんだから、子作りのためだけに付き合えばいいのよ」

話しかけるんじゃないよ!
私が海星か銀河と子作り!?想像したくない!
このコ、柚葉の恋愛遍歴のせいで、完全に思考が偏っちゃってる。

「どっちも顔は良いんだから、それで良いでしょ。何が不満なの」

アタマが痛くなってきた。

「大丈夫!智美だけの王子様は必ずいるから!」
「タネよ、タネ!」
「あああんあ、おおううんあおー!」

もう挫けてるんですけど・・・
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