たまさか猫日和
明るくなってから、玄関先を片付けていると叔父夫婦がやって来た。
「なんか騒がしいと思ったら、なんだい。カイちゃんも来てたのか」
「あらあら。これが連続殺人鬼?」
「んん?コイツあれじゃないか?」
叔父が顔をしかめた。
「年中、干物盗んでた猫だよ!」
「え?うちの干物?」
「そうだよ。自分よりでっかくたって持って行っちまうんだから!」
うちの両親は釣りが趣味で、移住前にも休みのたびに海へ出かけていた。
父の方は干物や燻製を作るも好きで、乏しい下町のベランダでせっせと干物と燻製作りに励んでいたのだ。
「だから悪ぃと思ってんじゃねーか!」
と、テンちゃんが叫んだ。
「俺が、おめぇさんの両親を死なせちまったんだろ!?」
しっ…シな…?
「久しぶりに、うめぇもん食おうと思ったらよぉ。どこにも何にもありゃしねぇ。それどころか、おめぇさんの両親もいねぇ。そして、おめぇさんは毎晩ハラ空かせてヨタヨタ帰ってくるときやがる…俺ぁはそれでようやく気が付いた…!俺ぁ、おめぇさんの両親を食うに困らせて、シなせしちまったんだってな…!う、うううう」
いや、あの、ちょっ…
「あんたのオヤジさんが丹精こめて作ってんのは知ってたけどよぉ、俺だって生きるのに必死だったんだよ。認めたかねぇけど、体は弱るし、目はショボつくし、縄張りもドンドン取られちまうしよぉ。だっ、だけど、まさかニンゲンが…ニンゲンがよぉ、そんなに切ねぇ生活をしてたとは思わなんだ…考えてみたら、夫婦そろってキッタねぇ川にいるボラみたいな顔してやがったなぁ。あれじゃあ、長く生きられねぇわけだ…」
反省してるのかディスっているのか分からないが、これでようやく話が見えてきた。
それで毎朝、私にエサを…。
とんだ『ゴンぎつね猫』もいたもんである。
「鳴いてるなぁ」
「泣いてるねぇ」
「憐れに鳴くなぁ」
取りあえず、金町に電話してみよ…
「なんか騒がしいと思ったら、なんだい。カイちゃんも来てたのか」
「あらあら。これが連続殺人鬼?」
「んん?コイツあれじゃないか?」
叔父が顔をしかめた。
「年中、干物盗んでた猫だよ!」
「え?うちの干物?」
「そうだよ。自分よりでっかくたって持って行っちまうんだから!」
うちの両親は釣りが趣味で、移住前にも休みのたびに海へ出かけていた。
父の方は干物や燻製を作るも好きで、乏しい下町のベランダでせっせと干物と燻製作りに励んでいたのだ。
「だから悪ぃと思ってんじゃねーか!」
と、テンちゃんが叫んだ。
「俺が、おめぇさんの両親を死なせちまったんだろ!?」
しっ…シな…?
「久しぶりに、うめぇもん食おうと思ったらよぉ。どこにも何にもありゃしねぇ。それどころか、おめぇさんの両親もいねぇ。そして、おめぇさんは毎晩ハラ空かせてヨタヨタ帰ってくるときやがる…俺ぁはそれでようやく気が付いた…!俺ぁ、おめぇさんの両親を食うに困らせて、シなせしちまったんだってな…!う、うううう」
いや、あの、ちょっ…
「あんたのオヤジさんが丹精こめて作ってんのは知ってたけどよぉ、俺だって生きるのに必死だったんだよ。認めたかねぇけど、体は弱るし、目はショボつくし、縄張りもドンドン取られちまうしよぉ。だっ、だけど、まさかニンゲンが…ニンゲンがよぉ、そんなに切ねぇ生活をしてたとは思わなんだ…考えてみたら、夫婦そろってキッタねぇ川にいるボラみたいな顔してやがったなぁ。あれじゃあ、長く生きられねぇわけだ…」
反省してるのかディスっているのか分からないが、これでようやく話が見えてきた。
それで毎朝、私にエサを…。
とんだ『ゴンぎつね猫』もいたもんである。
「鳴いてるなぁ」
「泣いてるねぇ」
「憐れに鳴くなぁ」
取りあえず、金町に電話してみよ…