たまさか猫日和
モーニングの常連客もあらかた片付く午前十時。ゴミを出しに裏口を出た。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、」
と言いながら、一匹の猫が近づいて来た。
「なにぃ。ご飯はあげられないよ~」
と、しかめっ面をして見せるが他人には、やに下がった顔にしか見えないであろう。
ところが猫は、思ってもみないことを言い出した。
「今日こそ、お手伝いできることない?」
マジマジとその猫を見た。やや八割れで、薄汚れた白黒のサクラ猫だ。小さいけどオスらしい。この辺りでは一番多い種類の柄なものだから、名前が思い出せない。カッチャンだったか、タッチャンだったか?
「今日こそって…いつも来てるの?」
「うん。でも何もさせてもらえない」
「だろね。ここ猫カフェじゃないからね」
「ねぇ!なにかできることなーい!?」
「あ、ちょっとダメだって!」
私の足の隙間から、無理やり店の中に入りこもうとする。
「だめだめ!なんにもしないでくれるのが一番いい!」
「でもでもでも~~~~」
海星が顔をのぞかせた。
「ああ?それか。かまうなよ」
「かまってない…いや、かまっちゃった。失敗した」
私は必至で足を駆使してガードし店に入れまいと試みたが、相手は猫で思うようにいかない。
それを海星が、いとも簡単にヒョイと持ちあげ、ポリバケツの上に放り投げた。その隙に、二人して中へ移動する。荒っぽいが、確かにそれしか方法がない。
「気ぃ抜くと、すぐ店に入ろうとするんだよ」
外からは、
「入れて~入れて~」
という情けない声がする。
「何を手伝おうって言うんだろ?」
不思議なことを言うもんだ。しかし、海星にはその言葉がもっと不思議に思えたらしい。
洗っていた手を止め、私を見た。
「手伝う?あのドラ猫が?」
「あ、ああ、違うや。はい、そうじゃありません。ここに住もうと思ってらっしゃるのかしらね~」
海星は、ますます眉を寄せで私を見つめた。
「お前が丁寧な言葉を使う時は、なにか誤魔化している時だ」
「おっとっと。こりゃいけねぇ。片づけ物が途中ときた!」
怪しんだままの海星の視線を感じながら、そそくさと新聞を片づけた。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、」
と言いながら、一匹の猫が近づいて来た。
「なにぃ。ご飯はあげられないよ~」
と、しかめっ面をして見せるが他人には、やに下がった顔にしか見えないであろう。
ところが猫は、思ってもみないことを言い出した。
「今日こそ、お手伝いできることない?」
マジマジとその猫を見た。やや八割れで、薄汚れた白黒のサクラ猫だ。小さいけどオスらしい。この辺りでは一番多い種類の柄なものだから、名前が思い出せない。カッチャンだったか、タッチャンだったか?
「今日こそって…いつも来てるの?」
「うん。でも何もさせてもらえない」
「だろね。ここ猫カフェじゃないからね」
「ねぇ!なにかできることなーい!?」
「あ、ちょっとダメだって!」
私の足の隙間から、無理やり店の中に入りこもうとする。
「だめだめ!なんにもしないでくれるのが一番いい!」
「でもでもでも~~~~」
海星が顔をのぞかせた。
「ああ?それか。かまうなよ」
「かまってない…いや、かまっちゃった。失敗した」
私は必至で足を駆使してガードし店に入れまいと試みたが、相手は猫で思うようにいかない。
それを海星が、いとも簡単にヒョイと持ちあげ、ポリバケツの上に放り投げた。その隙に、二人して中へ移動する。荒っぽいが、確かにそれしか方法がない。
「気ぃ抜くと、すぐ店に入ろうとするんだよ」
外からは、
「入れて~入れて~」
という情けない声がする。
「何を手伝おうって言うんだろ?」
不思議なことを言うもんだ。しかし、海星にはその言葉がもっと不思議に思えたらしい。
洗っていた手を止め、私を見た。
「手伝う?あのドラ猫が?」
「あ、ああ、違うや。はい、そうじゃありません。ここに住もうと思ってらっしゃるのかしらね~」
海星は、ますます眉を寄せで私を見つめた。
「お前が丁寧な言葉を使う時は、なにか誤魔化している時だ」
「おっとっと。こりゃいけねぇ。片づけ物が途中ときた!」
怪しんだままの海星の視線を感じながら、そそくさと新聞を片づけた。