シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜
遭遇
築山とは週に一度、塾の帰りに小一時間ほどファミレスに寄ったり、少し遠回りして帰ったりと、そんな感じの付き合い方をしていた。
だんだん知って行くと、築山はいい人だった。軽い見た目は相変わらずだったけれど、意外にも将来のことをしっかり考えていたりする。そして、何かにつけて好きだよと言ってくれる。けれど友達からと言ったからなのか、手を繋ごうともしない、真面目な人でもあった。
そんな築山と一緒にいることは、想像していたよりずっと楽しかった。始まり方が始まり方だったから、自分を飾らないでいられて楽だった。そうこうしているうちに、征司に対する私の気持ちも少しずつだったけれど、凪いでいくような気がした。
冬休みに入ったある日の塾帰り、一緒に帰る道すがら築山が言った。
「ねぇ、クリスマスって、予定ある?」
「予定?何もないけど」
「じゃあさ、デートしない?」
「デート……」
私が迷うようにつぶやくのを聞き取って、築山は言った。
「恋人じゃなくて、友達なのに、って思ったよね?」
「ま、そうね」
「だけど、今って俺たち、友達以上恋人未満、って感じじゃない?」
「うぅん、どうなんだろね?」
私は曖昧に笑いながら、胸の奥にずきりとした痛みが走ったのを感じていた。築山の方は好きだと言う気持ちを真っすぐに向けてくれているというのに、片や私はずるずるとそれに甘えて答えを引き延ばし続けている。
「あのさ……」
もう、こういうのはやめようよ――。
そう言いかけたのを、築山が制した。
「俺は、まだ待てるよ。だから、その先の言葉は、今は聞きたくないかな」
「でも……」
うつむく私に築山は笑顔を向ける。
「何も予定がないんなら、一人ってのもつまんないでしょ?だからとにかくさ、遊びに行こうよ。映画見て、ご飯食べて、ちょこっとイルミでも見てさ。俺のこと嫌いじゃないなら。……だめ?」
私は築山に根負けして大きなため息をついた。
「友達として、ってことでいいのなら」
「それじゃ、決まりだね!楽しみだなぁ」
築山は嬉しそうに、にっと笑った。
だんだん知って行くと、築山はいい人だった。軽い見た目は相変わらずだったけれど、意外にも将来のことをしっかり考えていたりする。そして、何かにつけて好きだよと言ってくれる。けれど友達からと言ったからなのか、手を繋ごうともしない、真面目な人でもあった。
そんな築山と一緒にいることは、想像していたよりずっと楽しかった。始まり方が始まり方だったから、自分を飾らないでいられて楽だった。そうこうしているうちに、征司に対する私の気持ちも少しずつだったけれど、凪いでいくような気がした。
冬休みに入ったある日の塾帰り、一緒に帰る道すがら築山が言った。
「ねぇ、クリスマスって、予定ある?」
「予定?何もないけど」
「じゃあさ、デートしない?」
「デート……」
私が迷うようにつぶやくのを聞き取って、築山は言った。
「恋人じゃなくて、友達なのに、って思ったよね?」
「ま、そうね」
「だけど、今って俺たち、友達以上恋人未満、って感じじゃない?」
「うぅん、どうなんだろね?」
私は曖昧に笑いながら、胸の奥にずきりとした痛みが走ったのを感じていた。築山の方は好きだと言う気持ちを真っすぐに向けてくれているというのに、片や私はずるずるとそれに甘えて答えを引き延ばし続けている。
「あのさ……」
もう、こういうのはやめようよ――。
そう言いかけたのを、築山が制した。
「俺は、まだ待てるよ。だから、その先の言葉は、今は聞きたくないかな」
「でも……」
うつむく私に築山は笑顔を向ける。
「何も予定がないんなら、一人ってのもつまんないでしょ?だからとにかくさ、遊びに行こうよ。映画見て、ご飯食べて、ちょこっとイルミでも見てさ。俺のこと嫌いじゃないなら。……だめ?」
私は築山に根負けして大きなため息をついた。
「友達として、ってことでいいのなら」
「それじゃ、決まりだね!楽しみだなぁ」
築山は嬉しそうに、にっと笑った。