シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜
呼び出されて
クリスマスの日から、私は築山と付き合い始めた。
と言っても、まだまだ友達の延長のような付き合い方で、好きで好きでたまらないというような熱を感じるようなものではなかった。けれど、そのうち築山に対する気持ちは、もっと育っていくだろう。そうすれば、征司への想いも薄れていくはず――私はそんな風に思っていた。実際、築山と過ごす時間が増えるにつれて、少しずつだったけれど、征司への想いは次第に思い出の中に埋もれて行きつつあった。
それなのにあの日、征司の言葉が私の心を揺さぶった。
高校三年生の秋。日差しが暖かな午後のことだった。
下校する時、下駄箱の奥の方に、リボンが掛けられた箱があることに気がついた。周りに誰もいないことを確かめて、こっそり開けてみると、そこには淡いピンク色のマグカップが納められていた。それと一緒に小さく折りたたまれた便箋が入っていた。
――明日の午後3時半に校庭の裏門の近くで待っている。
そんなメッセージが書かれてあった。
差出人を見た私は息を飲んだ。
征司君……?
どうしてこんな形で私を呼び出すのか、理解できなかった。彼には可愛らしい彼女がいるはずだ。告白であるはずがない。それならいったい何の話なのか、まったく予想がつかなかった。
無視することもできたはずだった。けれど、このマグカップをこのまま受け取るわけにもいかない。だから私は腑に落ちない気持ちのまま、その翌日その時間に、征司が指定する裏門に行った。
征司は、腕を組んで木の幹に背中を預けるようにして立っていた。
その立ち姿を遠目に見た途端、胸がどきどきし始めた。
と言っても、まだまだ友達の延長のような付き合い方で、好きで好きでたまらないというような熱を感じるようなものではなかった。けれど、そのうち築山に対する気持ちは、もっと育っていくだろう。そうすれば、征司への想いも薄れていくはず――私はそんな風に思っていた。実際、築山と過ごす時間が増えるにつれて、少しずつだったけれど、征司への想いは次第に思い出の中に埋もれて行きつつあった。
それなのにあの日、征司の言葉が私の心を揺さぶった。
高校三年生の秋。日差しが暖かな午後のことだった。
下校する時、下駄箱の奥の方に、リボンが掛けられた箱があることに気がついた。周りに誰もいないことを確かめて、こっそり開けてみると、そこには淡いピンク色のマグカップが納められていた。それと一緒に小さく折りたたまれた便箋が入っていた。
――明日の午後3時半に校庭の裏門の近くで待っている。
そんなメッセージが書かれてあった。
差出人を見た私は息を飲んだ。
征司君……?
どうしてこんな形で私を呼び出すのか、理解できなかった。彼には可愛らしい彼女がいるはずだ。告白であるはずがない。それならいったい何の話なのか、まったく予想がつかなかった。
無視することもできたはずだった。けれど、このマグカップをこのまま受け取るわけにもいかない。だから私は腑に落ちない気持ちのまま、その翌日その時間に、征司が指定する裏門に行った。
征司は、腕を組んで木の幹に背中を預けるようにして立っていた。
その立ち姿を遠目に見た途端、胸がどきどきし始めた。