シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜
再会、ふたたび
それから時が過ぎて、征司と再び顔を合わせたのは大学に入学してから二年目のことだった。
地元から一番近い大学ということもあって、私がいた高校から進学していた連中は多かった。大抵が実家を出て一人暮らしだったから、入学したばかりの頃はその仲間たちで集まってはよく一緒に遊んでいた。その中に征司はいなかった。同じ学部内でも見なかったから、きっと彼はどこか他の大学に入ったのだろうとずっと思っていた。
しかし、再会は大学二年生となった年の初秋。
まだ夏の日差しの名残を感じる頃、例の仲間の一人が言い出しっぺとなり、河原でバーベキューをすることになった。
担当分けした買い物を友達と終えて河原に着くと、そこに征司の姿があって驚いた。そして、この時はじめて、彼も同じ大学に通っていたということを知ったのだった。
高校時代に彼の告白を受け止められず、その後会話どころか顔すらも合わせていなかった。それからもう二年になる。征司はどうなのか分からなかったが、少なくとも私の方は昔以上に気まずくて、彼の顔を見ることができなかった。
それなのに、征司の方が、たぶん私よりもはるかに大人だった。
征司は買ってきたものを取り出している私の傍にやって来ると、久しぶりに聞く柔らかい声音で話しかけてきた。
「久しぶり。元気だった?」
私はゆっくりと首を巡らして、ぎこちない笑みを浮かべた。
「うん……」
「同じ大学だったんだね。学部はどこ?」
「人文。征司君は?」
「理学」
「え、すごいね。倍率高かったんじゃない?」
「そうでもないよ」
「ふぅん……」
何となくその先の言葉が続かなくなって、私も征司も口をつぐむ。
その時、友達の一人が私たちに向かって声をかける。
「前田さんと早瀬君さ、すっごく悪いんだけど、少しおにぎりとか買い足してきてくれない?あと、飲み物も。ちょっと足りなさそうなんだ」
「分かった!俺、行ってくるよ。えぇと、前田さんはここにいていいから」
「え、一人じゃ大変でしょ。私も一緒に行くよ」
私は弾かれたようにそう言って、立ち上がった。
地元から一番近い大学ということもあって、私がいた高校から進学していた連中は多かった。大抵が実家を出て一人暮らしだったから、入学したばかりの頃はその仲間たちで集まってはよく一緒に遊んでいた。その中に征司はいなかった。同じ学部内でも見なかったから、きっと彼はどこか他の大学に入ったのだろうとずっと思っていた。
しかし、再会は大学二年生となった年の初秋。
まだ夏の日差しの名残を感じる頃、例の仲間の一人が言い出しっぺとなり、河原でバーベキューをすることになった。
担当分けした買い物を友達と終えて河原に着くと、そこに征司の姿があって驚いた。そして、この時はじめて、彼も同じ大学に通っていたということを知ったのだった。
高校時代に彼の告白を受け止められず、その後会話どころか顔すらも合わせていなかった。それからもう二年になる。征司はどうなのか分からなかったが、少なくとも私の方は昔以上に気まずくて、彼の顔を見ることができなかった。
それなのに、征司の方が、たぶん私よりもはるかに大人だった。
征司は買ってきたものを取り出している私の傍にやって来ると、久しぶりに聞く柔らかい声音で話しかけてきた。
「久しぶり。元気だった?」
私はゆっくりと首を巡らして、ぎこちない笑みを浮かべた。
「うん……」
「同じ大学だったんだね。学部はどこ?」
「人文。征司君は?」
「理学」
「え、すごいね。倍率高かったんじゃない?」
「そうでもないよ」
「ふぅん……」
何となくその先の言葉が続かなくなって、私も征司も口をつぐむ。
その時、友達の一人が私たちに向かって声をかける。
「前田さんと早瀬君さ、すっごく悪いんだけど、少しおにぎりとか買い足してきてくれない?あと、飲み物も。ちょっと足りなさそうなんだ」
「分かった!俺、行ってくるよ。えぇと、前田さんはここにいていいから」
「え、一人じゃ大変でしょ。私も一緒に行くよ」
私は弾かれたようにそう言って、立ち上がった。