シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜
子どもというのは無邪気すぎて、素直すぎて、時に容赦のない生き物だ。
それは、ある日の昼休みのことだった。
普段から私に意地悪な公一が絡んできた。いつも誰と帰っているかとか、そんなどうでもいいような話が発端だった。
「お前たちってさ、いつもべったりだよな。帰りも一緒で」
そう言って、公一は私と征司をからかい始めた。その声は大きくて、というよりも、わざと聞えよがしに言っていたと思う。そのせいで、私と征司の机の周りには、他のクラスメイトたちまでもが集まって来てしまった。
「えぇっ!みちえちゃんと征司くんって、付き合ってるの?」
ただ聞きかじっただけの言葉を口にするクラスメイトたち。
「そんなんじゃないよ」
困って顔を歪める私の隣の席で、征司もまた戸惑った顔をしていた。
にやにやしながら公一が言う。
「でもさぁ。みちえちゃんは征司くんのこと、ほんとは好きなんじゃないの?」
無視を決め込もうとしたが、公一はわざわざ私の前にまで回り込んできて執拗に言い続ける。苛立った私は顎を上げると、公一をきっと睨みつけた。
「好きだよ。公一くんと違って、征司くんは優しいから。なんか悪い?」
認めるようなことを、私が言うとは思っていなかったのだろう。公一は一瞬絶句した。けれどすぐに、わざとらしく大きな声で言った。
「ふぅん、みちえちゃんは征司くんが好きなんだね。それじゃあ、征司くんはどうなんだよ?」
今思えば、単に皆、面白がっていただけなのだ。他のクラスメイトたちも、何も考えずにただ同調していたに過ぎなかった。口々にはやし立て始め、次第に収拾がつかない状態になってしまった。
午後の授業の始まりを知らせるチャイムが鳴り響き、担任が入って来るまでその騒ぎは続いた。
「こらっ!何してるの!午後の授業が始まるわよ!早く席についてください!」
担任の一喝で、事態はようやく収まった。
けれどその日から、私と征司は一緒に帰らなくなった。これまでだったら、どちらからともなく帰ろうと声を掛け合うのに、それがなくなった。それだけではない。私たちはお互いに目を合わせることさえも、避けるようになっていった。
それは、ある日の昼休みのことだった。
普段から私に意地悪な公一が絡んできた。いつも誰と帰っているかとか、そんなどうでもいいような話が発端だった。
「お前たちってさ、いつもべったりだよな。帰りも一緒で」
そう言って、公一は私と征司をからかい始めた。その声は大きくて、というよりも、わざと聞えよがしに言っていたと思う。そのせいで、私と征司の机の周りには、他のクラスメイトたちまでもが集まって来てしまった。
「えぇっ!みちえちゃんと征司くんって、付き合ってるの?」
ただ聞きかじっただけの言葉を口にするクラスメイトたち。
「そんなんじゃないよ」
困って顔を歪める私の隣の席で、征司もまた戸惑った顔をしていた。
にやにやしながら公一が言う。
「でもさぁ。みちえちゃんは征司くんのこと、ほんとは好きなんじゃないの?」
無視を決め込もうとしたが、公一はわざわざ私の前にまで回り込んできて執拗に言い続ける。苛立った私は顎を上げると、公一をきっと睨みつけた。
「好きだよ。公一くんと違って、征司くんは優しいから。なんか悪い?」
認めるようなことを、私が言うとは思っていなかったのだろう。公一は一瞬絶句した。けれどすぐに、わざとらしく大きな声で言った。
「ふぅん、みちえちゃんは征司くんが好きなんだね。それじゃあ、征司くんはどうなんだよ?」
今思えば、単に皆、面白がっていただけなのだ。他のクラスメイトたちも、何も考えずにただ同調していたに過ぎなかった。口々にはやし立て始め、次第に収拾がつかない状態になってしまった。
午後の授業の始まりを知らせるチャイムが鳴り響き、担任が入って来るまでその騒ぎは続いた。
「こらっ!何してるの!午後の授業が始まるわよ!早く席についてください!」
担任の一喝で、事態はようやく収まった。
けれどその日から、私と征司は一緒に帰らなくなった。これまでだったら、どちらからともなく帰ろうと声を掛け合うのに、それがなくなった。それだけではない。私たちはお互いに目を合わせることさえも、避けるようになっていった。