シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜

エピローグ

散歩コースの途中にある桜並木。

葉桜となった今、その根元一帯にはクローバーが生い茂っていた。

そこに咲く小さな白い花を摘んで、私は今、花冠を作っている。

「できた」

目の前で目を輝かせている小さな女の子の頭に、そっと乗せてあげた。

「パパ、見て見て―!」

女の子が駆けて行った先には、花冠を手にして立つ彼の姿があった。彼は女の子と手を繋いで、私の方へと近づいてきた。

「これはママのだよ」

そう言って、花冠を私の頭の上に乗せる。

「あ、上手にできてるのね。……ママとおそろいだね」

「うん!」

嬉しそうに笑う娘と再び手を繋いで、彼は私に微笑んだ。

「みちえ、そろそろ帰ろうか」

「えぇ」

私は立ち上がると、娘の反対側の手を取って繋いだ。

「行きましょうか」

娘を真ん中にして、私と征司はゆっくりとした足取りで家路に向かった。






(了)
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