シロツメクサの優しい約束〜いつか君を迎えに行くよ〜
目撃
二年生になってから通い始めた進学塾。授業が終わって帰り支度をしていると、築山慎也が近づいてきた。
「みちえちゃん!一緒に帰ろうよ」
築山は他校の生徒で、この塾で私と同じ授業を受けている。軽く見えるその外見に似合わず、実は予習復習を欠かさない努力家タイプであることを私は知っている。
築山は私の隣に座ると、机の上で頬杖をついて言った。
「ねぇ、みちえちゃん、帰りにファミレスでお茶して行こうよ。おごるからさ」
ここ数か月、毎週火曜日に顔を合わせる度に、築山は私をお茶に誘う。
けれど私は立ち上がると、肩越しに淡々と答えた。
「遅くなると家族が心配するからやめとく。また来週ね」
「あ、待ってよ!せめて途中まで一緒に帰ろう」
さっさと教室を出る私を追うように、築山は後を着いてくる。
私は彼を無視したまま歩いていたが、気づけば帰り道の商店街にまでくっついてきていた。隣を歩く築山にわざと聞こえるように、私は大きなため息をついた。
「ねぇ、どうして着いてくるの?」
「どうして、って……。前に言ったじゃないか。みちえちゃんが好きだから、付き合いたいって」
「築山くんが言うと、なんだか冗談にしか聞こえないんだよね。それに私、今は誰ともつき合う気はないよ。だいたいさ、どうしていつの間にか、私のこと、下の名前で呼んでるわけ?」
まだ薄ら明るい商店街の中を通り抜けながら、私はどうやって慎也を追い払おうか考える。
その辺にある男子が入りにくそうな店にでも行こうか。あのファンシーショップなんかどうだろう。それともランジェリーショップか。
「みちえちゃん!一緒に帰ろうよ」
築山は他校の生徒で、この塾で私と同じ授業を受けている。軽く見えるその外見に似合わず、実は予習復習を欠かさない努力家タイプであることを私は知っている。
築山は私の隣に座ると、机の上で頬杖をついて言った。
「ねぇ、みちえちゃん、帰りにファミレスでお茶して行こうよ。おごるからさ」
ここ数か月、毎週火曜日に顔を合わせる度に、築山は私をお茶に誘う。
けれど私は立ち上がると、肩越しに淡々と答えた。
「遅くなると家族が心配するからやめとく。また来週ね」
「あ、待ってよ!せめて途中まで一緒に帰ろう」
さっさと教室を出る私を追うように、築山は後を着いてくる。
私は彼を無視したまま歩いていたが、気づけば帰り道の商店街にまでくっついてきていた。隣を歩く築山にわざと聞こえるように、私は大きなため息をついた。
「ねぇ、どうして着いてくるの?」
「どうして、って……。前に言ったじゃないか。みちえちゃんが好きだから、付き合いたいって」
「築山くんが言うと、なんだか冗談にしか聞こえないんだよね。それに私、今は誰ともつき合う気はないよ。だいたいさ、どうしていつの間にか、私のこと、下の名前で呼んでるわけ?」
まだ薄ら明るい商店街の中を通り抜けながら、私はどうやって慎也を追い払おうか考える。
その辺にある男子が入りにくそうな店にでも行こうか。あのファンシーショップなんかどうだろう。それともランジェリーショップか。