朝、夜、劣情。
「樫野くんも彼奴も、あれから進展しなさすぎて、俺の体調が悪くなりそう。だから、俺を助けると思って、さっさと彼奴とプレイして?」
朝葉の瞳孔が僅かに開く。軽めのグレアだ。なぜ朔夜とプレイをしていないだけで、これほど朝葉に責められなければならないのか。舞緒はいまいち腑に落ちなかったが、反論したとてコマンドで黙らされるだけだろう。機嫌の悪いDomにSubが反発するのは逆効果だ。何より、相手が誰であろうと挑発ができるほど、喧嘩腰になれるほど、舞緒の気は強くはなかった。異論は認めない。朝葉からはそのような圧力を感じた。
舞緒は朝葉を見て曖昧に頷いたものの、プレイしてと指示を出されたところで、一体どのようにして朔夜を誘えばいいのか、その方法がすぐには思いつかず、無言のまま頭を悩ませてしまった。朔夜とのプレイ自体には興味がある。してみたいという淫靡なSubの欲求すら芽生えている。しかし、その欲望を、あまり接点もなく、ほとんど話したこともない朔夜に正直に伝えることは憚られた。
朔夜を誘った他のSubが、どういった言動で、経緯で、プレイをするに至ったのか、そこまでの詳細な噂や方法などは舞緒の耳には届いていない。注目されているのは大抵朔夜の方なのだ。好印象で目立っている朝葉とは逆で、朔夜は悪印象で目立っているのだった。
「さく……、んん、えー……、きょ、興味がないわけではないけど、話したことないし、なかなか……」
兄を嫌い、自分といる時にその名前を出されるのすら嫌がる朝葉の前で朔夜の名前を呼んでしまいそうになり、既のところでその呼称を飲み込んだ舞緒は、咳払いで誤魔化し下手くそな愛想笑いを浮かべた。朝葉は咎めてこない。セーフのようだ。
朝葉の瞳孔が僅かに開く。軽めのグレアだ。なぜ朔夜とプレイをしていないだけで、これほど朝葉に責められなければならないのか。舞緒はいまいち腑に落ちなかったが、反論したとてコマンドで黙らされるだけだろう。機嫌の悪いDomにSubが反発するのは逆効果だ。何より、相手が誰であろうと挑発ができるほど、喧嘩腰になれるほど、舞緒の気は強くはなかった。異論は認めない。朝葉からはそのような圧力を感じた。
舞緒は朝葉を見て曖昧に頷いたものの、プレイしてと指示を出されたところで、一体どのようにして朔夜を誘えばいいのか、その方法がすぐには思いつかず、無言のまま頭を悩ませてしまった。朔夜とのプレイ自体には興味がある。してみたいという淫靡なSubの欲求すら芽生えている。しかし、その欲望を、あまり接点もなく、ほとんど話したこともない朔夜に正直に伝えることは憚られた。
朔夜を誘った他のSubが、どういった言動で、経緯で、プレイをするに至ったのか、そこまでの詳細な噂や方法などは舞緒の耳には届いていない。注目されているのは大抵朔夜の方なのだ。好印象で目立っている朝葉とは逆で、朔夜は悪印象で目立っているのだった。
「さく……、んん、えー……、きょ、興味がないわけではないけど、話したことないし、なかなか……」
兄を嫌い、自分といる時にその名前を出されるのすら嫌がる朝葉の前で朔夜の名前を呼んでしまいそうになり、既のところでその呼称を飲み込んだ舞緒は、咳払いで誤魔化し下手くそな愛想笑いを浮かべた。朝葉は咎めてこない。セーフのようだ。