雨の日は貴方を想い出します
数日後、拓也くんは、飛び立った。
拓也くんを見送った私はしばらく放心状態だった。
店長はそんな私を優しく見守って、すぐに仕事にこいとは言わなかった。
数日経って、やっと私は現実を受け入れて、
店長に「今日からよろしくお願いします」と頭を下げることが出来た。
店長は笑って受け入れてくれた。
私は店長に教わりながら、仕事を始めた。
大好きな本たちに囲まれて過ごせるなんて、幸せすぎた。
本の整理や掃除、ネット販売用のサイトのチェックなどやることは思った以上に多かった。
けど、なんか、楽しくて、嬉しくて、1日はあっという間に過ぎていった。
そして、家に帰ると、私は、自分の部屋に籠もり、物語を毎日書いた。
原稿を何度も何度も送った。
けど、一向に私の作品が表に出ることは無かった。
私はそのつど凹む。
そして、拓也くんに電話して話を聞いて貰う。
そんなことが何年もずっと続いた。
そんな中で店長は私をずっと応援し、支え続けてくれた。
一緒に出かけたり、遊んだり、映画を見たりとか、私の作品に少しでも色がつけられるようにと色々考えて色んなことを一緒にしてくれた。
雨の日は、私は拓也くんを思い出して、ぼーっと外を眺めていることが多い。
そんなときは、一緒に外を眺めながら話を聞いてくれた。
お陰でなんとか、自分を保てている気がした。
気付けば、10年が経っていた。
そんなある日、私は店長に連れられて、ある場所に来た。
そこは大きな倉庫だった。
「ここには、全国から書籍が集まっている、葵ちゃんにも見せたくて」と言われた。
そこにはほんとに多くの古書が新しい読み手を待っていた。
私はそんな中をゆっくり歩いてると、一冊の本を見つけて手に取った。
「店長、この本、、」と私が言うと、
「あー、欲しいのあった?なら、別に持って帰っても良いよ。その人が大切にしてくれるんなら、大歓迎だよ。僕のお気に入りも、父さんや、じいちゃんのお気に入りもここにあるんだ」と店長は言ってくれて、私はその本を貰うことにした。
その本は、よく図書館で拓也くんと2人で見ていた想い出の本だった。
いつからか、なくなっていて、正直、もう出逢えないと思ってた。
けど、まさか、こんなところでこの本に再会出来るなんて
私の心は躍った。
そして、何か自分の中の音が聞こえたような気がした。
「あのさ、葵ちゃん、ここの管理がてらたまには見に来てよ。合鍵渡しとくし。なんかあったらここで本に触れると良いよ」と店長は言ってくれたのだ。
私はありがとうございますと頷いた。
そして、ふと、
「店長、私この話をベースに小説書きたい!皆にもっと知ってもらいたい」と私が言うと、笑顔で、「ありがとう、長きに渡ってここに携わる、葵ちゃんにしか書けないものにしてね!」と言ってくれた。
この日、私は家に帰ると早速書き始めた。
そんなとき、拓也くんから連絡が来た。
拓也くんは確かな実力をつけて、名の知れた映画監督になっていた。
そして、今回、日本上映が決定し、ジャパンプレミアの挨拶で日本に戻ってくるらしい。
私は嬉しくて、仕方無かった。
10年ぶりに会える彼氏に。
私はそのことを、お父さんとお母さん、りっちゃん、店長、皆に伝えた。
皆、凄く喜んでくれた。
店長は「せっかくだし、2人で拓也くんの映画見に行こっか」と誘ってくれた。
私は「はい、よろしくお願いします」と返事した。
私はデビューすら出来ていない。
でも、拓也くんはちゃんと、夢を叶えて、約束を守ってくれた。
私も負けていられないなと気合いを入れ直して、物語を書き続けた。
数日後、私は店長と一緒に映画館に来ている。
拓也くんの映画は想像以上にかっこ良くて、感動して、嬉しくて、気づいたら涙が止まらなくなっていた。
終わってもしばらくは動くことが出来なかった。
少しして、落ち着いて、
「凄かったね。やっぱ、葵ちゃんの彼氏凄いね!」と言いながら、私たちは映画館を後にした。
私は「あの、完成したんです。私も、けど、雄馬さんより先に、拓也くんに見て欲しくて、まだお見せ出来ませんけど」と私が言うと、
「そっかー、まあね、僕は2番だから大丈夫だよ~けど、忘れないでね?葵ちゃんは一人じゃないから。僕はデビューしてなくてもずっと津島葵のファンだからね!」と店長は笑ってくれた。
「はい、わかってます」と私は言った。
その後、ランチして、ブレイクタイムを楽しんで、店長に家まで送って貰った。
家の前に着くと、そこにはずっと逢いたくて、待っていた、拓也くんがいた。
「拓也くん?」と私が言うと、
拓也くんは私に駆け寄ってきて、思いきり抱きしめてくれた。
「やっと、帰って来れたんだ。10年も待たせて悪かったな」と拓也くんに言われて、
私は思わず涙した。
「ふー、お帰り、拓也くん。僕、感動したよ、拓也くんの作品。そして、そんな彼氏をずっと思い続ける葵ちゃんにもね。てことで今日は帰るね、葵ちゃん、またね」と店長は言って去って行った。
しばらく私たちは抱き合ってその場から動けなかった。
しばらくして、
「拓也くん、せっかくだから、ウチ上がっていって」と私は拓也くんを誘った。
拓也くんは照れながらも、「じゃあ、お邪魔します」と一緒に中には言ってくれた。
拓也くんを見送った私はしばらく放心状態だった。
店長はそんな私を優しく見守って、すぐに仕事にこいとは言わなかった。
数日経って、やっと私は現実を受け入れて、
店長に「今日からよろしくお願いします」と頭を下げることが出来た。
店長は笑って受け入れてくれた。
私は店長に教わりながら、仕事を始めた。
大好きな本たちに囲まれて過ごせるなんて、幸せすぎた。
本の整理や掃除、ネット販売用のサイトのチェックなどやることは思った以上に多かった。
けど、なんか、楽しくて、嬉しくて、1日はあっという間に過ぎていった。
そして、家に帰ると、私は、自分の部屋に籠もり、物語を毎日書いた。
原稿を何度も何度も送った。
けど、一向に私の作品が表に出ることは無かった。
私はそのつど凹む。
そして、拓也くんに電話して話を聞いて貰う。
そんなことが何年もずっと続いた。
そんな中で店長は私をずっと応援し、支え続けてくれた。
一緒に出かけたり、遊んだり、映画を見たりとか、私の作品に少しでも色がつけられるようにと色々考えて色んなことを一緒にしてくれた。
雨の日は、私は拓也くんを思い出して、ぼーっと外を眺めていることが多い。
そんなときは、一緒に外を眺めながら話を聞いてくれた。
お陰でなんとか、自分を保てている気がした。
気付けば、10年が経っていた。
そんなある日、私は店長に連れられて、ある場所に来た。
そこは大きな倉庫だった。
「ここには、全国から書籍が集まっている、葵ちゃんにも見せたくて」と言われた。
そこにはほんとに多くの古書が新しい読み手を待っていた。
私はそんな中をゆっくり歩いてると、一冊の本を見つけて手に取った。
「店長、この本、、」と私が言うと、
「あー、欲しいのあった?なら、別に持って帰っても良いよ。その人が大切にしてくれるんなら、大歓迎だよ。僕のお気に入りも、父さんや、じいちゃんのお気に入りもここにあるんだ」と店長は言ってくれて、私はその本を貰うことにした。
その本は、よく図書館で拓也くんと2人で見ていた想い出の本だった。
いつからか、なくなっていて、正直、もう出逢えないと思ってた。
けど、まさか、こんなところでこの本に再会出来るなんて
私の心は躍った。
そして、何か自分の中の音が聞こえたような気がした。
「あのさ、葵ちゃん、ここの管理がてらたまには見に来てよ。合鍵渡しとくし。なんかあったらここで本に触れると良いよ」と店長は言ってくれたのだ。
私はありがとうございますと頷いた。
そして、ふと、
「店長、私この話をベースに小説書きたい!皆にもっと知ってもらいたい」と私が言うと、笑顔で、「ありがとう、長きに渡ってここに携わる、葵ちゃんにしか書けないものにしてね!」と言ってくれた。
この日、私は家に帰ると早速書き始めた。
そんなとき、拓也くんから連絡が来た。
拓也くんは確かな実力をつけて、名の知れた映画監督になっていた。
そして、今回、日本上映が決定し、ジャパンプレミアの挨拶で日本に戻ってくるらしい。
私は嬉しくて、仕方無かった。
10年ぶりに会える彼氏に。
私はそのことを、お父さんとお母さん、りっちゃん、店長、皆に伝えた。
皆、凄く喜んでくれた。
店長は「せっかくだし、2人で拓也くんの映画見に行こっか」と誘ってくれた。
私は「はい、よろしくお願いします」と返事した。
私はデビューすら出来ていない。
でも、拓也くんはちゃんと、夢を叶えて、約束を守ってくれた。
私も負けていられないなと気合いを入れ直して、物語を書き続けた。
数日後、私は店長と一緒に映画館に来ている。
拓也くんの映画は想像以上にかっこ良くて、感動して、嬉しくて、気づいたら涙が止まらなくなっていた。
終わってもしばらくは動くことが出来なかった。
少しして、落ち着いて、
「凄かったね。やっぱ、葵ちゃんの彼氏凄いね!」と言いながら、私たちは映画館を後にした。
私は「あの、完成したんです。私も、けど、雄馬さんより先に、拓也くんに見て欲しくて、まだお見せ出来ませんけど」と私が言うと、
「そっかー、まあね、僕は2番だから大丈夫だよ~けど、忘れないでね?葵ちゃんは一人じゃないから。僕はデビューしてなくてもずっと津島葵のファンだからね!」と店長は笑ってくれた。
「はい、わかってます」と私は言った。
その後、ランチして、ブレイクタイムを楽しんで、店長に家まで送って貰った。
家の前に着くと、そこにはずっと逢いたくて、待っていた、拓也くんがいた。
「拓也くん?」と私が言うと、
拓也くんは私に駆け寄ってきて、思いきり抱きしめてくれた。
「やっと、帰って来れたんだ。10年も待たせて悪かったな」と拓也くんに言われて、
私は思わず涙した。
「ふー、お帰り、拓也くん。僕、感動したよ、拓也くんの作品。そして、そんな彼氏をずっと思い続ける葵ちゃんにもね。てことで今日は帰るね、葵ちゃん、またね」と店長は言って去って行った。
しばらく私たちは抱き合ってその場から動けなかった。
しばらくして、
「拓也くん、せっかくだから、ウチ上がっていって」と私は拓也くんを誘った。
拓也くんは照れながらも、「じゃあ、お邪魔します」と一緒に中には言ってくれた。