年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 気付けばなだらかな道になり、今度は下りが始まった。

「ここから降りていくから。登りは終わり」

 照永の言葉通り下っていく道が続き始めた。

「そういえば、目的地に着く頃にお昼ご飯ですけど、どうしますか?」

「あそこ行こうと思って。ふるさとの丘」

 千葉は昼食にもう少し違ったイメージを持っていたので少し拍子抜けして『あ~……』と気のない返事をしてしまった。

「知らない? ふるさとの丘」

「知ってますよ、あの大きい看板の」

「そこで昼にしようかと思ってたんだよね」

 プランを練ってくれていたのであればそれに逆らう理由も無い。

 千葉は同意することにした。

「いいですね、しばらく行ってなかったし」

「俺もしばらく行ってないからさ、どうかなと思って。この峠を下りて突き当りのT字路を曲がれば着くから」

「私今、自分がどこを走っているのか全然分からないので右とか左とかちゃんと教えてくださいね」
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