年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
「大丈夫大丈夫、今までちゃんと教えてるでしょ?」

「ですね」

 千葉は笑って答えた。

 そして照永が言っていたであろうT字路に差し掛かる。

「これをね、左。左折」

「左ですか?」

 道路の上の青看板を見ると、右折すると出発地点へ向かう道であると表記されていた。

 『分からないけど、右に行けば元に戻っちゃうなら左でいいんだろうな』

 そう思って千葉はウィンカーを左に上げた。

 しかしある程度進んでもふるさとの丘はみつからない。

「あれ、間違ったかな」

 照永がスマホを取り出して確認しだした。

「8分」

 そう呟く。

 あと8分で着くとのことなのだろう。

「じゃあ間違ってなかったってことですね」

 う~ん……間違ってないと思うんだけど……、と呟く照永は少し自信がないようだ。

 それからまたしばらく走り、照永はスマホを触りだす。
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