年上男性にてのひらの上で転がされて困っています
 布団の中で千葉は思い返していた。

 いつも通っている整骨院の先生との会話。

「なんか、一緒に出掛けようって声かけられたんですよ」

「え? 職場の人に? いいじゃん」

 整骨院の先生は恐らく50代半ば。患者の様々な話が大好物なようだ。

「2人で遊びに行こうって言われて、暇な時間に連絡頂戴って連絡先交換して、一緒に銭湯に行こうって言われた」

「なにそれ、それもう決定じゃん!」

 もしかしたら先生は人のコイバナを聞くのが好きなのかもしれない。

「いやいや、でも連絡先交換しただけだし、本気で言ってるのかだって分からないし」

「いやぁ、だってお風呂に一緒に行こうって言ってきたんでしょ? 2人で出かけようって言ったんでしょ? それはもう決まりじゃない」

 満面の笑みで楽しそうに話す先生。

「やっぱりそう思います?」

 肩に鍼を刺されたまま横になっている千葉はまんざらでもない表情をしている。

「でもね、でもほら、昨日の今日だしね。様子見で。さっきLINE送ったけど返事ないし」

「この間の問題は解決したし、こりゃ新しい話題が出来て次から楽しみだ」



 本当に照永さんは私に好意を持っているんだろうか……。
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